180年間ナゾだった「モノクロ映像に色が見えてくる錯覚」の仕組みを12歳の少女が解明!

12歳の学生が主観色を研究
12歳の学生が主観色を研究 / Credit:Society for Science

科学の推進に取り組む非営利団体Society for Science & the Publicは毎年、アメリカの中学生を対象とした全国的な科学コンテスト「Broadcom MASTERS」を開催しています。

そして2020年の最優秀賞(サミュエリ財団賞)を受賞したのは、アメリカ・ニューヨークに住む12歳の少女イシャナ・クマール氏でした。

彼女は自身の実験で、ベンハムのコマ」で知られる想像上の色と網膜疲労の関係を明らかにし、約250万円を獲得しました。

>参照元はこちら(英文)

ベンハムのコマは想像上の色を見せる

ベンハムの独楽の模様
ベンハムの独楽の模様 / Credit:Selket/wikipedia

クマール氏の研究対象となったのは、「ベンハムのコマ」または「ベンハムの円盤」による錯視です。

ベンハムのコマとは、イギリスのおもちゃ製造業者であるチャールズ・ベンハム氏に由来するコマです。

コマの上面には黒と白色の独特な模様が描かれており、回すことで錯視を引き起こすようになっています。

回っているコマの上面を眺めていると、白と黒以外にも弧状の薄い色が見えるようになるのです。しかも見る人によってこの色は異なるとのこと。

この現象はフェヒナーの色と呼ばれており、人がつくりだす「想像上の色」です。観察者による主観的な現象であるため、主観色とも呼ばれています。

現象自体は1838年に発見されましたが、未だに原因が解明されていません

この未解決問題に挑戦したのがクマール氏であり、彼女は「私は常に、複雑なが幻想によってどのように騙されるのか興味を抱いてしまいた」と述べています。

12歳の少女が主観色と錐体細胞の関連性を明らかにし、250万円を獲得

ベンハムの円盤装置
ベンハムの円盤装置 / Credit:Society for Science

クマール氏は主観色の原因に網膜の疲労が関係していると考え、この関係性を実証するテストを行ないました。

その実験では、まず10人の被験者たちから、ベンハムのコマが回転したときに見えた色のデータを収集します。

そして赤や青、そして緑のを凝視させることで網膜疲労を誘発。これにより色覚の基礎となる錐体細胞に疲労がたまります。

その後再びベンハムのコマを見せ、被験者たちが見た色のデータを集めました。

サミュエリ財団賞を受賞したイシャナ・クマール氏
サミュエリ財団賞を受賞したイシャナ・クマール氏 / Credit:Society for Science

その結果、被験者は90回試行されたテストの83%で色覚の変化がありました。しかも被験者が報告した色の変化は様々だったのです。

彼女の研究によって、想像上の色をつくりだす「主観色」と錐体細胞が相互に関係していると判明しました。主観色が完全に解明されたわけではありませんが、この発見は視覚障害の診断や治療に大きく役立つでしょう。

さて、2020年Broadcom MASTERSのファイナリストには30人の優秀な学生たちが選ばれました。

Broadcom MASTERSの30人のファイナリストたち
Broadcom MASTERSの30人のファイナリストたち / Credit:Society for Science

ファイナリストの多くは14歳の少年少女ですが、クマール氏は研究とリーダシップ、思考力などが高く評価され、12歳という若さでサミュエリ財団賞を受賞し、賞金約250万円を獲得したのです。

クマール氏は将来外科医になることを望んでおり、「神経視覚やその他脳の知覚障害をもつ人々を助けるための研究と手術を行ないたい」と述べています。

【編集注 2020.11.17 08:00】
タイトル一部修正して再送しております。
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