老化は逆転できる
老化は逆転できる / Credit:canva
brain

「老化を巻き戻す薬」が開発中! 知力や精神力を向上させ、よぼよぼマウスが若返った

reference: neurosciencenews
2020.12.03 Thursday

老化による知的衰退は逆転可能なようです。

12月1日に『eLife』に掲載された論文によれば、細胞がストレスを感知する仕組みを遮断することで、老化現象を逆転して知性と精神の若返りに成功したとのこと。

また実験に使用した若返り薬は、被検体となった老マウスの記憶力や精神的柔軟性、空間認知能力、ニューロンの通電性といった加齢とともに低下する項目を回復させました。

さらに脊髄密度の増加や騒音性難聴の防止、外傷性脳損傷の修復、前立腺がんに対する治療効果まであったとしています。

しかし、ストレスを感知する仕組みを遮断するだけで、なぜ知性や精神まで若返るのでしょうか?

研究者たちの話によれば、鍵となるのは漫画やアニメでお馴染みの「リミッター解除」であるようです。

>参照元はこちら(英文)

細胞の安全装置を解除する

細胞はストレスが加わるとタンパク質の生産にブレーキがかかる
細胞はストレスが加わるとタンパク質の生産にブレーキがかかる / Credit:ナゾロジー

老いは避けがたく、脳細胞は時と共に劣化して知力や精神力を減退させ、時計の針を巻き戻す以外に回復することはない…。

かつては誰もがそう思っていました。

しかし今回の研究で、その常識がくつがえります。

契機となったのは、2013年にカリフォルニア大学の研究者によって発見されたISRIB(統合的ストレス応答阻害因子)と呼ばれる小分子でした。

このISRIBには細胞のストレスを遮断し、タンパク質生産能力を増加させる力がありました。

細胞はストレス状態に陥るとタンパク質生産にブレーキをかける安全装置が作動することが知られていましたが、ISRIBはそのブレーキを解除できたのです。

この安全装置は細胞の異常活動を防止するにあたって非常に有効である一方、解除の結果は予測不能でした。

そこで今回、研究者たちはこの「安全装置解除」を、年老いたマウスで実験してみることにしました。

実験対象に老齢のマウスを選んだ理由は、老化の本質はDNAに蓄積したエラーであり、細胞はそれら蓄積したエラーがストレスとなって、タンパク質の生産能力に永続的なブレーキがかけられていると考えたからです。

特に脳における活動ブレーキは、老化特有の記憶力低下や精神力の衰退の主因になりえます。

ですが逆を言えば、安全装置を解放することでタンパク質生産能力にかけられていたブレーキの解除し、若い頃と同じ知力と精神力を取り戻せる可能性があったのです。

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