脱皮した頭を積んで「ヘンな帽子」をつくるケムシ、生存率がアップする理由とは?

頭が5つあるケムシ?
頭が5つあるケムシ? / Credit: Alan Henderson

参考文献: newscientist, bbc, independent

昆虫はあらゆる動物たちの食い物にされています。

とくに脆弱で逃げ足も遅い幼虫の時期がもっとも危険です。

早く大きくなるために常に葉っぱを食べ続けますが、それでも成長には時間がかかります。

そこでユニークな防御策を発達させたのが、「ウラバ・ルーゲンス(Uraba lugens)」という蛾のケムシです。

上の写真から想像もつきそうですが、どんな習性の持ち主なのでしょうか?

帽子を「ツノ」にすることで生存率アップ!

ウラバ・ルーゲンスは、オーストラリアニュージーランドに生息する蛾です。

時のサイズは約2センチと小さく、白い体毛に覆われたよく見るケムシの姿ですが、奇妙な習性を持っています。

脱皮した頭の殻を頭上にどんどん積み上げていくのです。

ウラバ・ルーゲンスのケムシは、最大13回の脱皮を繰り返しますが、頭を積み始めるのは4回目の脱皮からと決まっています。

おそらく、それ以前の殻は小さすぎるのでしょう。

頭の殻を完全に脱ぎ去るのではなく、一部をくっつけた状態にしておくことで、脱皮ごとに自然と積み上がっていきます。

帽子をかぶっているような姿から、『不思議の国のアリス』に登場する「マッド・ハッター」と、ケムシを意味する「キャタピラー(caterpillar)」をもじって、「マッド・ハッターピラー(mad hatterpillar)」と呼ばれています。

頭の殻をツノのように使う
頭の殻をツノのように使う / Credit: peerj

専門家に言わせると、「この習性は非常にめずらしい」とのことです。

ほとんどの虫は、脱皮した皮を自らの食料にするか、捨ててしまいます。

また、積み上げた頭は単なる見せかけではなく、天敵から身を守る効果があります。

例えば、鉗子(かんし)を使って擬似的に攻撃してみると、彼らは帽子のような頭を後ろにそらして、弱点である背中を守ろうとするのです。

帽子のツノがある方が生存率が高かった
帽子のツノがある方が生存率が高かった / Credit: peerj

さらには、頭を振り回して、ツノのように使うこともあります。

2016年の実験では、帽子のあるケムシとないケムシで、天敵のサシガメに対する生存率を調べました。

すると、帽子のない個体は簡単にやられるのに対し、帽子がある個体は、相手が間違ってツノの方を攻撃したり、ツノの動きに妨害されることで捕食を諦めることが確認されています。

このようにウラバ・ルーゲンスのケムシたちは、少しでも生存率を高めるため、捨てるべき殻まで再利用しているのです。

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