「一生に一度、見れるか見れないか」の希少な個体!
鳥類学者のジェイミー・ヒル氏(69)は、ペンシルバニア州ウォーレン郡在住の知人から「珍しい鳥が頻繁にやってくる」という連絡を受け、現場を訪問。
そこで知人の言う通り、右半身が赤色、左半身が褐色の見たこともない小鳥が発見されました。
すぐにショウジョウコウカンチョウと判別できたのですが、本種は普通、オスが鮮やかな赤色、メスが淡い褐色の体色をしています。
今回の小鳥は、その色が半分ずつであり、希少な雌雄モザイク個体であることが分かります。
ヒル氏は「雌雄モザイクの鳥は、百万羽につき1羽、つまり一生に一度見れるか見れないかの確率」と言います。
鳥類の雌雄モザイクは、卵細胞が「2つの核をもつ」という異常な状態で、精子がそれぞれに同時受精することで生じます。
鳥類の性染色体は、オスがZZ、メスがZWの「ZW型」。
この異常な受精が成立すると、1つの受精卵にZZとZWの2つの性ができてしまい、発生過程で、体がオスメス半分ずつになってしまうのです。
また、鳥類の多くは、卵巣が左側でのみ発達し、右側は成長過程で退化することが知られます。
今回発見された鳥は、その色から右側がオス、左側がメスと分かるので、正常に機能する卵巣を維持しているかもしれません。
ヒル氏は
「雌雄モザイクの鳥を直に目にし、撮影できたことは非常に幸運なことです。
私はかれこれ20年近く、絶滅したと考えられていたハシジロキツツキを探してきました。
(ハシジロキツツキは、1970年代に絶滅したとされたが、1986年にキューバで再発見。依然、絶滅危惧種に指定されており、ヒル氏は北米での現生個体を退官するまで捜索し続けた)
この希少な鳥を発見できた喜びは、ハシジロキツツキを見つけたときと同じくらい大きなものです」
と話しています。