乾燥させてつくる携行食クルト
乾燥させてつくる携行食クルト / Credit:Paul Munhoven / Wikipedia
humanities

中央アジアの遊牧民が食べてきた「古代の携行食」を再現!

2021.03.12 Friday

飴玉やおにぎり、チョコレートバー、ゼリー飲料などの携行食は、昔から世界中の人々に愛されてきました。

現代でも旅行やスポーツ、また時間のないビジネスマンたちの食事として活躍しています。

アメリカ・ニューヨークを拠点とするジャーナリストのスージー・アーミテージ氏は、古代の中央アジア遊牧民から引き継がれてきた携行食「クルト」を再現し、そのレシピを情報誌「Atlas Obscure」に掲載しました。

クルトは長持ちしてタンパク質豊富なので携行食にぴったりです。ぜひレシピから再現してみてください。

Make the Ancient Road Snack of Central Asian Nomads https://www.atlasobscura.com/articles/what-is-qurt

古代遊牧民から受け継がれてきた乳製品携行食「クルト」

クルトとはトルコ語で「乾燥」を意味する言葉であり、羊、ヤギ、牛、ラクダなどの乳を発酵させたのち、ボール状に丸めて天日で乾燥させたものです。

そのまま食べられる高タンパクかつ高カルシウムな栄養食として重宝されてきました。

さらに熱湯に溶かして飲み物にしたり、料理やスープに混ぜたりできます。

また冷蔵しなくても何年も保存がきくため、遊牧民の保存食として最適でした。

トルコの村でクルトを作っている女性たち
トルコの村でクルトを作っている女性たち / Credit:Bablekan / Kurdish Wikipedia

クルトは少なくとも紀元前7世紀には存在していたと言われており、現代に至るまで中央アジアの遊牧民たちに受け継がれてきました。貴重な伝統食なのです。

そのためクルトは数多くの逸話に登場してきました。

例えば、13世紀にモンゴルで活動していたフランシスコ会の宣教師は、クルトのことを「鉱石のように硬い」と表現しました。

また1930~1950年には、ソ連の強制収容所に近隣の子供たちがクルトを投げ込んだというエピソードもあります。

これにより囚人たちは貧しい監獄食を補うことができました。彼らは詩の中でクルトを「貴重な石」と表現しています。

市場で販売されているさまざまなフレーバーのクルト
市場で販売されているさまざまなフレーバーのクルト / Credit:LBM1948 / Wikipedia

現代でもクルトはさまざまな分野で活躍しています。宇宙飛行士の栄養食となったこともあるのです。

中央アジアの市場では多種多様なクルトが販売されていますし、食料品店からインターネット経由で購入することも可能。

もちろん、自宅でクルトを手作りすることもできます。

アーミテージ氏は中央アジアの村で実際に行われている方法でクルトを作り、そのレシピを公開しました。次項でご紹介します。

次ページ遊牧民の携行食クルトの伝統的な手作りレシピ

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