宇宙が与えるワインへの影響
今回の研究は、フランス企業Space Cargo Unlimited社が「Mission WISE」と呼ばれる研究プロジェクト6つの実験の第一弾として実施したものです。
宇宙ミッションでWISEといわれると、NASAの人工衛星「広域赤外線探査衛星(WISE)」を連想する人もいるかもしれませんが、本ミッションはそれとは関係ありません。
この「Mission WISE」は「VitisVinumin SpatiumExperimentia」の略で、その意味はラテン語で「遠く離れた場所でのブドウワインの実験」です。
次の実験では、ブドウの新芽に対して微小重力がどのような影響を与えるか研究されるそうです。
また、2022年末に予定される3つ目の実験では、バクテリア、酵母、発酵プロセスに焦点を当てた研究が行われます。
もちろんこの研究は単なる酔狂ではなく、ストレスにさらされた植物の影響や変化を調査し、気候変動などに備えた農業研究です。
ブドウ栽培の未来のために宇宙環境を活用した実験を民間主導で行うというのは、まさにフランスらしい研究といえるでしょう。
今回の宇宙ワインは、まだパネリストによる評価を行っただけで、生化学的な組成の分析はこれからとなります。
なお、この宇宙ワインは、いずれ一般向けにも販売する予定だといいます。
オークションハウス「Christie’s」は、その販売価格を約83万ユーロ(約1億900万円)と見積もっています。
「幸運なバイヤーは、2つのワインを比較できるでしょう」とChristie’sのマスター・オブ・ワイン、ティム・ティプトリー氏は述べています。
なお、今回実験に使用されたシャトー・ペトリュスは、年間約3万本しか生産されない世界でもっとも高価なワインの1つです。
地上熟成されたペトリュス2000のヴィンテージボトルも、通常価格は1本約70万円以上します。