小さな亀裂を自己修復するコンクリート
小さな亀裂を自己修復するコンクリート / Credit:Nima Rahbar(Worcester Polytechnic Institute)_An enzymatic self-healing cementitious material(2021)
chemistry

「赤血球の酵素」で自己修復するコンクリートが開発される (2/2)

2021.06.18 Friday

2021.06.17 Thursday

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自己修復するコンクリートが開発される!耐久性が4倍になるかも⁉

炭酸脱水酵素がCO2とコンクリート分子から炭酸カルシウムを生成
炭酸脱水酵素がCO2とコンクリート分子から炭酸カルシウムを生成 / Credit:Nima Rahbar(Worcester Polytechnic Institute)_An enzymatic self-healing cementitious material(2021)

実験の結果、炭酸脱水酵素が触媒となり、大気中のCO2とコンクリート中の分子が化学反応を起こしました

コンクリートの隙間に炭酸カルシウムの結晶がつくられると判明したのです。

炭酸カルシウムは石灰岩、大理石、卵の殻、貝殻、真珠などの主成分であり、ごく一般的な物質です。

そして炭酸カルシウムとコンクリートの原子配列は非常によく似ているため、コンクリートの補強材になります

つまり、新しい酵素入りコンクリートは小さな亀裂が生じると、大気からCO2を吸収し、自動的に修復・補強してしまうのです。

実際、動画にはミリ単位の亀裂が24時間以内に修復される様子が記録されています。

ラフバル氏は、自己修復コンクリートを利用するなら、構造物の寿命を20年から80年に延長できると予測しています。

ちなみに、この自己修復コンクリートは、すでに硬化した従来のコンクリートにも適用でき、大きな亀裂や穴の修復にも役立つとのこと。

現在、コンクリート(セメント)製造は世界のCO2排出量の8%を占めています。

今後、自己修復コンクリートを全面的に利用できるなら、コスト削減だけでなく、CO2問題にも対応できるかもしれませんね。

【編集注 2021.06.18 14:15】
記事内容に一部誤字がありましたので、修正して再送しております。
ご報告いただき誠にありがとうございました。

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