パルス大電流を流すことにより魚身中のアニサキスが死亡し、白濁して い る
パルス大電流を流すことにより魚身中のアニサキスが死亡し、白濁して い る / Credit:浪平隆男(熊本大学)_パルスパワーを用いた新しいアニサキス殺虫方法を開発 ―アニサキス食中毒リスクのない刺身―(2021)
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刺身に「パルスパワー」を流してアニサキスを殺虫する新技術が登場

2021.06.25 Friday

2021.06.24 Thursday

サバ、アジ、カツオ、サケ、イカなどの魚介類には寄生虫アニキサスが潜んでおり、生食の際に食中毒の原因となります。

熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平 隆男准教ら研究チームは、株式会社ジャンパン・シーフーズと共同で、パルスパワーを用いた新しいアニキサス殺虫方法を開発しました。

瞬間的に大電流を流して殺虫するため、魚身の品質を保持できるというメリットがあります。

研究の詳細は6月22日、熊本大学のプレスリリースに掲載されました。

パルスパワーを用いた新しいアニサキス殺虫方法を開発 ―アニサキス食中毒リスクのない刺身― https://research-er.jp/articles/view/100515

アニキサス冷凍殺虫は品質が低下する

刺身はアニキサス食中毒のリスクがある
刺身はアニキサス食中毒のリスクがある / Credit:Depositphotos

通常、アニキサスは魚介類の内臓に寄生しているため、適切に内臓を処理すれば刺身でも安全に食べられます。

しかし魚の死後、魚体温の上昇に伴ってアニキサスは内臓から筋肉へと移動

鮮度が落ちるにつれて、生きたアニキサスを食べてしまうリスクが高くなるのです。

その結果、アニキサスがヒトの胃腸に侵入してしまい、嘔吐や激しい痛みが生じます

水産業界はアニキサス食中毒を防ぐため、いくつかの殺虫方法を試みてきました。

そしてアニキサスを殺虫するには、「70℃以上または60℃で1分の加熱」「-20℃以下で24時間以上冷凍」しなければいけないと分かっています。

つまり生食用では、冷凍処理でアニキサスを殺虫しなければいけないのです。

ところが冷凍処理には、ドリップの流出、退色、触感の軟化などの品質低下が伴い、商品価値も下がってしまいます

こうした背景にあって、研究チームは「品質を低下させないアニキサス殺虫方法」を開発することにしました。

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