やる気スイッチは2種類あると判明! 「大変だけど頑張る」ための脳回路を発見
やる気スイッチは2種類あると判明! 「大変だけど頑張る」ための脳回路を発見 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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やる気スイッチは2種類あると明らかに!「大変だけど頑張る」ときの脳回路を発見

2021.07.07 Wednesday

やる気スイッチは2種類あったようです

7月1日に量子科学技術研究開発機構の研究者たちにより『PLOS BIOLOGY』掲載された論文によれば、やる気の源であるドーパミンが、コスト内容(時間と労力)に応じて異なる経路で伝達されていたとのこと。

どうやら脳内では、時間とは別に労力が報酬に似合うかどうかを専門に判断する回路があるようです。

もしこの回路を制御することができれば、うつ病などで、行動が「おっくう」になる現象を回避できるかもしれません。

脳はいったいどんな方法で、コスト内容を区別していたのでしょうか?

「ご褒美がもらえる」と「大変だけど頑張ろう」の2つの『やる気』システムを解明 〜うつ病の仕組みとその改善法を知る上で重要な手がかり〜 https://www.qst.go.jp/site/press/20210702.html
D1- and D2-like receptors differentially mediate the effects of dopaminergic transmission on cost–benefit evaluation and motivation in monkeys https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3001055

「やる気」の中身は単純ではなかった

やる気には少なくとも2種類以上の種類が存在すると判明
やる気には少なくとも2種類以上の種類が存在すると判明 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

仕事や勉強、スポーツにゲームなど「やる気」は人間のあらゆる活動の根源にあります。

ですが「やる気」は非常に打算的な性質を持っています。

得られる報酬がコストに見合わないと感じると「やる気」は急速にしぼみ、最終的に行動を「辞めて」しまいます。

これまでの研究により、この「やる気」「報酬」「コスト」の関係はドーパミンが大きくかかわっていることが明らかになってきました。

ドーパミンは単純に「やる気」を出すだけでなく「報酬」と「コスト」を天秤にかけて、どちらを捨てるかも制御していたのです。

ですがこれまでは肝心の、天秤のバランスをとる仕組みは不明でした。

また「コスト」と言っても労力や時間など内容はさまざまであり「やる気」や「報酬」との関係は一概には決まりません。

そこで今回、日本の量子科学技術研究開発機構の研究者たちは、ドーパミンそのものの分泌量ではなく、ドーパミンの受け手(受容体)に着目しました。

ドーパミンの受け手には2つの型(D1受容体とD2受容体)が知られており、これらが「報酬」と「コスト」のバランスや種類に異なる影響を与えていると考えたのです。

さっそく研究者たちは、サル内でのドーパミン受容体の働きを調べてみました。

結果、意外な事実が判明します。

労力をかけてでも報酬を得ようとする、タフな「やる気」が存在していたのです。

次ページ「単純な報酬」とは別に「大変だけど頑張る」ために必要な回路

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