新しい素材は太陽と空気にさらされると一週間で分解される
新しい素材は太陽と空気にさらされると一週間で分解される / Credit:canva
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実験失敗から「日光で消えるプラスチック」が開発される! たった1週間で分解可能

2021.07.13 Tuesday

Degradable plastic polymer breaks down in sunlight and air(PNAS) http://blog.pnas.org/2021/07/degradable-plastic-polymer-breaks-down-in-sunlight-and-air/
Complete Degradation of a Conjugated Polymer into Green Upcycling Products by Sunlight in Air https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.1c04611

プラスチックは、自然の中で分解されるのに非常に時間がかかるため、環境中に残留するマイクロプラスチックが大きな環境問題となっています。

そこで最近は、分解可能なプラスチックに関する研究が数多く報告されています。

そんな中国、華中科技大学 (かちゅうかぎだいがく)は、太陽と酸素にさらすことでたった1週間で分解されマイクロプラスチックを残さない新しいプラスチックポリマーを開発したと報告しています。

そんなすぐに分解されてしまうのでは容器などには使えません。これは密閉されたスマホなどの内部部品としての利用が想定されています。

研究の詳細は、アメリカ化学会が発行する学術雑誌『Journal of the American ChemicalSociety(米国化学会誌)』に、6月28日付で掲載されています。

 

早すぎる環境分解性プラスチック

今回報告されたのは、日光と空気にさらすだけで、約1週間で分解されてしまう新しいプラスチックです。

核磁気共鳴(NMR)や質量分析法などで、その化学的性質を調査したところ、このプラスチックは、太陽光の元で石油由来のポリマーからコハク酸へ急速に分解されるとわかりました。

コハク酸は、天然由来の無害な低分子で、環境中にマイクロプラスチックの破片を残すことはありません

しかし、いくら環境に優しいとはいえ、日にあたったら1週間で分解されてしまうプラスチックなど、一体何に使ったら良いのでしょうか?

研究チームの1人、中国・武漢にある華中科技大学の有機材料科学者であるリャン・ルオ(Liang Luo)氏は次のように説明します。

「日光に弱いこのプラスチックは、1週間以上保存が必要なボトルやバッグには適していないかもしれません。

しかし、他の生物分解性ポリマーなどと一緒に配合して使うことで、埋立地でも分解を早めることができるでしょう。

またこの素材は、スマホの電子部品など、光や酸素から隔離された密閉された機械内部で使うなら何年でも耐えることができ、スマホの寿命が尽きた際には簡単に廃棄することができるのです」

電子部品のゴミ
電子部品のゴミ / Credit:canva

機械内部の電子部品にもプラスチックは多用されています。

こうした部品を廃棄する際、日光で簡単に分解されるプラスチックは活躍する可能性があるというのです。

確かに、言われてみればという感じですね。

この日光で分解される特殊なプラスチックですが、その発見にはちょっと変わったいきさつがありました

もともとこの素材は、環境に優しい素材を作ろうとして開発されたわけではなく、pHで色が変わるリトマス試験紙のような化学センサーとして開発されたものだったのです。

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