ボート上のミストマシンで雲を増大させる
ボート上のミストマシンで雲を増大させる / Credit:Brendan Kelaher(SCU)_Can artificially altered clouds save the Great Barrier Reef?(2021)
geoscience

サンゴ礁を「人工的に大きくした雲」で救う計画が進行中

2021.08.28 Saturday

現在、いくつかの国や地域では、サンゴ礁の白化が問題になっています。

これは海水温の上昇によって生じる現象であり、この状態が続くならサンゴ礁は壊滅してしまいます。

そこでオーストラリア・サザンクロス大学(SCU)の国立海洋科学センター(National Marine Science Centre)に所属するダニエル・ハリソン氏ら研究チームは、海上の雲を増強して太陽光を跳ね返す「マリン・クラウド・ブライトニング(Marine Cloud Brightning)」を試行しました。

将来的には海水温の上昇が抑えられ、サンゴ礁の白化現象を阻止できるかもしれません。

研究の詳細は8月25日、科学誌『Nature』にニュース記事として掲載されました。

Can This ‘Cloud-Brightening’ Technique Save the Great Barrier Reef? https://interestingengineering.com/can-this-cloud-brightening-technique-save-the-great-barrier-reef?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=26082021 Can artificially altered clouds save the Great Barrier Reef? https://www.nature.com/articles/d41586-021-02290-3

地球温暖化に対する奇策「マリン・クラウド・ブライトニング」

地球温暖化の対策にはさまざまな方法があり、現在でも多くのプロジェクトが進行中です。

その中には、「マリン・クラウド・ブライトニング(Marine Cloud Brightning)」と呼ばれるコンセプトも含まれます。

これは「海上の雲を人為的に大きくして、地球に降り注ぐ太陽光をより反射させる」というもの。

もともと海上では厚い雲が生成されやすく、人の介入によって、そのプロセスの促進が可能だと考えられているのです。

海上の雲を人為的に増大させる「マリン・クラウド・ブライトニング」
海上の雲を人為的に増大させる「マリン・クラウド・ブライトニング」 / Credit:Depositphotos

このコンセプトを実現させられるなら、海水温の上昇を防ぐだけでなく、地球全体の温暖化をコントロールできるかもしれません。

とはいえ、実際にマリン・クラウド・ブライトニングを成功させるには、膨大な数の実験と資金が必要になります。

また人為的に雲を大きくしたり作ったりした場合、他の地域にどのような影響があるのか分からないという懸念があり、賛否両論な方法でもあります。

しかしハリソン氏ら研究チームは、サンゴ礁を守るため、マリン・クラウド・ブライトニングのプロジェクトを進めてきたようです。

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