人間はロボットに見つめられているだけで集中を乱される。そこに命があるかどうかは関係なかった。
人間はロボットに見つめられているだけで集中を乱される。そこに命があるかどうかは関係なかった。 / Credit:IIT,When humans play with a humanoid robot, they delay their decisions when the robot looks at them(2021)
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人間は「ロボットでも」見つめられると集中を乱されてしまう

2021.09.08 Wednesday

When humans play with a humanoid robot, they delay their decisions when the robot looks at them https://opentalk.iit.it/when-humans-play-in-competition-with-a-humanoid-robot-they-delay-their-decisions-when-the-robot-loo/ When Robot Eyes Gaze Back at Humans, Something Changes in Our Brain And Behavior https://www.sciencealert.com/when-robot-eyes-gaze-back-at-humans-something-changes-in-our-brain-and-behavior
Mutual gaze with a robot affects human neural activity and delays decision-making processes https://doi.org/10.1126/scirobotics.abc5044

人の視線を意識してしまい、決断が鈍ったり、集中が乱されたという経験を持つ人は多いでしょう。

しかし、このときの視線を向けてくる相手は、別に生き物である必要はなかったようです。

イタリア技術研究所(IIT)の研究チームは、人がロボットとゲームをするという実験を行い、そのときの人間の脳波や神経活動の変化を測定しました。

すると、ロボットに見られているとき人間は、次の一手を決断することが通常時より手間取ったのです。

人の脳は、それがロボットの視線であったとしても「無視」するためには、努力とコストが必要になるようです。

この研究の成果は、科学雑誌『Science Robotics』に9月1日付で掲載されています。

見られていると集中できない

IITの開発した幼児型ロボット「iCub(アイカブ)」
IITの開発した幼児型ロボット「iCub(アイカブ)」 / Credit:en.Wikipedia

これはイタリア技術研究所(IIT)が開発した人型ロボット「iCub(アイカブ)」です。

これは4歳児ほどの人間の子どもを想定して作られた幼児型のロボットで、歩いたりはできませんが、53のモーターと76の関節を持ち、細やかな動きを再現できます。

また、LEDライトで眉や口のラインを表示することで、表情を作り出すことができ、稼働する目で視線を作り出すこともできます

LEDで眉や口の形を自由に変化させ表情を再現できる
LEDで眉や口の形を自由に変化させ表情を再現できる / Credit:en.Wikipedia

視線は人と人との相互作用、コミュニケーションにおいて重要な信号です。

それは相手に意図を伝えたり、人の判断に影響を与えることもあります。

人前だと緊張して本来の力が発揮できない、という人も理由の多くは視線にあるといえるでしょう。

人に視線を向けられると集中するのが難しくなる
人に視線を向けられると集中するのが難しくなる / Credit:canva

では、ロボットと人間がお互いに視線を交えたとき、そこではどんな相互作用が起きるのでしょうか? あるいは人ではない存在とは、視線による相互作用は起きないのでしょうか?

こうした問題を調べるために、今回の研究チームは、人型ロボットiCubの視線が、人々の意思決定に与える影響について実験を行いました

実験では40人の被験者をiCubの向かいに座らせ、コンピューター画面上で2台の車が正面からぶつかり合うチキンレースのゲームをしてもらいました。

実験の様子。モニターに映るのがチキンレースのゲーム画面。
実験の様子。モニターに映るのがチキンレースのゲーム画面。 / Credit:Istituto Italiano di Tecnologia,Humans play in competition with a humanoid robot(YouTube)

ゲームは衝突の直前で一時停止します。

このとき、被験者にはロボットの方を見上げてもらい、ロボットはその視線に対してまっすぐ見つめ返すか、視線をそらす動作をします。

この瞬間に、被験者はさらに車を前進させるか、進路をそらして避けるかの判断を行います。

では、実験の結果はどうなったでしょうか?

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