カツオノエボシ
カツオノエボシ / credit: AC
animals plants

海の危険生物カツオノエボシの魅力|刺されたときの対処法も紹介 (2/5)

2021.10.02 Saturday

前ページカツオノエボシってどんな生き物?

<

1

2

3

4

5

>

カツオノエボシの危険性

なぜカツオノエボシは危険生物として知られているのでしょうか。その理由は

・猛であること
・行楽シーズンに到来すること
・見つけにくいこと

などが挙げられます。

カツオと同時期に到来しますが、その時期は初夏~秋です。

初夏の黒潮に乗って来るため、巷でも「旬のカツオのたたき!」なんて商品が出回ります。

そしてその時期は、よりによって海岸の行楽シーズンです。

よって、人々が刺される事が多くなり、注意喚起される事も多くなっていきました。

シーズンさえズレれば、こんなに煙たがられる事もなかったかもしれませんが、我々の空気は読んでくれなかったようですね。

クラゲに刺された人のイラスト
クラゲに刺された人のイラスト / credit: いらすとや

また、その身体は青透明色をしており、海の色と同化してしまいます。

台風後などに海岸に漂着した場合でも、まるでプラスチックゴミのように見えるのです。

このように「気づかれないことが多い」ため、誤って触れてしまい、その猛毒にさらされる事件が起きます。

カツオノエボシに刺激を与えると、触手の表面にある「刺胞」という毒針が発射されますが、この猛毒性が危険であるとされます。

では具体的にはどのような症状が起こるのでしょうか。

カツオノエボシの毒に見られる症状

【刺されてしまった場合】
・咳
・くしゃみ
・脱力感、不安感
・じんましん
・ミミズ腫れ、火ぶくれ、炎症
・皮膚壊死性
・燃えるような激痛
・嘔吐
・心拍数上昇
・心悸亢進
・心臓毒性、心臓発作
・ショック状態
・刺されたのが二度目だと、アナフィラキシーショックが起こり、呼吸困難、窒息死など

に見舞われます。

症状の程度は個人差がありますが、痺れるような激痛を感じる事が多いため「電気クラゲ」とも呼ばれるのですね。

電気クラゲ
電気クラゲ / credit: AC

そんな毒の成分は、基本的にタンパク質性です。

タンパク質の細かいものをペプチド、もっと細かくしたものをアミノ酸と呼びますが、厳密にはペプチド毒性のようです。

また、複数の酵素(これもほぼタンパク質で構成されています)も混ざり合っています。

中でも注意すべきなのは「ヒプノトキシン」という毒です。

ギリシャ神話の眠り神ヒプノス+毒のあるタンパク物質「トキシン」から命名されたように、

この毒が注入された動物は、神経麻痺を起こした後、死亡してしまいます。

では体内に毒を入れてしまった際には、どのように対処すれば良いのでしょうか。

刺されたときの対処法、治療法

刺されてしまった場合は一般的に、

・患部を冷やす
・海で洗い流す(真水は逆効果)
・落ち着いて陸にあがる
・素手ではなく、タオルや厚手の手袋をした状態で、触手を取り除く
・抗ヒスタミン剤の軟膏やステロイド外用薬の軟膏を塗布

することが有効です。

医者と患者
医者と患者 / credit: freepik

しかし、これらはあくまで応急処置であるため、その後速やかに医療機関を受診しましょう。

覚えておくべき!やってはいけない対処法

やると症状が悪化してしまい、逆効果になる対処法は、一般的に

・お酢をかける
・真水で洗い流す
・温める
・砂をかけて擦る

などです。

また、真水で洗ってしまうと浸透圧(濃度をどこでも均一にしようとする力)の差で、毒針から毒が真水に流れ出て体内に入ってきてしまいます。

海水や塩水で洗うならば、むしろOKです!

水を掛ける女性
水を掛ける女性 / credit: AC

温めると、炎症反応が進行し、温熱刺激で刺胞が活性化してしまいます。

毒針を抜いた後の患部であれば、40℃程度のお湯に晒すと、タンパク質の熱変性により痛みがやわらぎますが「棘が残っているか判断できない」「温度が厳密に測れない」といった状況下では、安易にトライしない方が賢明でしょう。

ここまで来ると「擦る行為」がご法度な理由も、お分かりでしょうか?

刺激を与えてしまい、毒針が皮膚により深く刺さるためです。

次ページカツオノエボシが起こした事件

<

1

2

3

4

5

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!