ガラスには衝撃に弱いという欠点があるが、今回それを克服する新素材が開発された
ガラスには衝撃に弱いという欠点があるが、今回それを克服する新素材が開発された / Credit:canva
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貝殻の構造を利用した高強度の新ガラスが登場!割れないスマホ画面へ

2021.09.30 Thursday

Unbreakable glass inspired by seashells https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/unbreakable-glass-inspired-seashells-333730
Centrifugation and index matching yield a strong and transparent bioinspired nacreous composite https://www.science.org/doi/10.1126/science.abf0277

スマートフォンの画面をバキバキに割ってしまったという悲しい思いをしたことのある人は多いでしょう。

ガラスはざまざまな面で優れた特性を持つ便利な素材ですが、衝撃に対する耐久性はなかなか解決できない欠点となっています。

そんな中、カナダのマギル大学( McGill University)の新しい研究は、貝殻の内側の層をヒントに、より強くて丈夫なガラスの開発に成功したと報告しています。

この新素材は、衝撃によって砕けることなくプラスチックのような弾力性を持っていて、将来的にはスマートフォンの画面などに利用される可能性があります。

研究の詳細は、9月10日付けで科学雑誌『Science』に掲載されています。

ガラスの強度を上げるには?

ガラスは非常に優れた素材です。

古代ローマの政治家ペトロニウスは自著「サテュリコン」の中で、「ガラスは壊れやすいがゆえに安価だが、そうでなければ金よりも好ましい」と評しています。

そんなガラスの強度を上げるために、「焼き戻し」や「貼り合わせ」といった技術が存在しますが、いずれもコストがかかる方法で、表面が傷つくと機能しなくなるという問題があります。

しかし、新たな研究はそんなガラスの問題を克服することに成功したようです。

今回の研究を発表したカナダ・マギル大学バイオエンジニアリング学部のアレン・エーリッヒャー(Allen Ehrlicher)准教授は次のように語ります。

「これまでのガラスには、高強度、強靭性、透明度の間にトレードオフの関係があり、いずれかを上げると、いずれかは下がってしまいました。

しかし、私たちの新素材ガラスは、通常のガラスの3倍の強度と5倍以上の耐破壊性があります

この新素材を生み出すヒントは自然の中にありました。

エーリッヒャー准教授が目をつけたのは、アワビなどの殻の内側に形成される真珠層だといいます。

アワビの内側で虹色の光沢を放つ真珠層は優れた構造を持っている
アワビの内側で虹色の光沢を放つ真珠層は優れた構造を持っている / Credit:depositphotos

「自然は優れたデザインの達人です。

生物材料の構造と働きを理解すれば、新しい材料のインスピレーションが得られるだけでなく、ときにはその設計図を作成できます。

貝の真珠層は驚くべきことに、硬い素材の持つ剛性柔らかい素材が持つ耐久性という両者の長所を同時に兼ね備えています

研究チームは、この構造を利用して、新しいガラスを開発したのです。

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