動物のフンで作られた塩分除去フィルター
動物のフンで作られた塩分除去フィルター / Credit:Alyssa Stone(Northeastern University)_MANURE MAKES DRINKING WATER? AN UNLIKELY SOLUTION TO A GLOBAL CRISIS(2021)
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動物のフンを使って海水から塩分を除去するフィルターが登場 (2/2)

2021.10.23 Saturday

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「動物のフン」のフィルターが海水を飲料水に変える

フンを加熱してフィルターを作る
フンを加熱してフィルターを作る / Credit:Alyssa Stone(Northeastern University)_MANURE MAKES DRINKING WATER? AN UNLIKELY SOLUTION TO A GLOBAL CRISIS(2021)

新しく開発されたフィルターは、動物のフンを1700℃で加熱して作られます。

これによりフンに含まれるバクテリアが死滅し、粉末状の炭素ができあがるのです。

そして、その黒い粉を使って吸性の高いフィルターを作成。

日光を当てると海水が蒸気になり、フィルターが塩分を除去する
日光を当てると海水が蒸気になり、フィルターが塩分を除去する / Credit:Yi Zheng(Northeastern University)_Farm-waste-derived recyclable photothermal evaporator(2021)

太陽光をフィルターに当てると、フィルターの下の海水が蒸気になって通過します。

その際、フィルターが塩分を除去してくれます。

そしてフィルターを通過した蒸気を凝縮すると、淡水が得られるというわけです。

実際にこの方法で得られた水を解析したところ、そのナトリウム濃度は、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が定めた飲料水の基準を十分にクリアしていました。

スズメバチの巣からもフィルターを作れる
スズメバチの巣からもフィルターを作れる / Credit:Alyssa Stone(Northeastern University)_MANURE MAKES DRINKING WATER? AN UNLIKELY SOLUTION TO A GLOBAL CRISIS(2021)

ちなみに研究チームは、動物のフン以外にも、木の葉、イカ墨、カニの殻、スズメバチの巣を原料とする同様の淡水化フィルターを作ることに成功しています。

チームによると、「これら天然素材は優れた性能をもっており、低コストで入手しやすく、製造も簡単」とのこと。

そしてこの新しい淡水化フィルターは、従来の淡水化フィルターを製造するのが難しい地方の村や町で活躍すると考えられます。

地元の人々が農場から動物のフンや木の葉を集めて燃やすだけで、簡単にフィルターの材料が得られるからです。

世界中の飲料水不足を解決する可能性を秘めているため、今後の進展にも期待したいものです。

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