他のトリの巣に卵を産んで育てさせる「托卵」
他のトリの巣に卵を産んで育てさせる「托卵」 / Credit:Galawebdesign(Wikipedia)_Brood parasite
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托卵鳥のヒナは仮親の子供を殺すため「卵の中で筋トレ」していた

2021.10.31 Sunday

Parasitic birds ‘exercise’ in their eggs, hatch … and then pulverize their nestmates https://www.livescience.com/avian-brood-parasite-egg-exercise
Embryo movement is more frequent in avian brood parasites than birds with parental reproductive strategies https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.1137

ある種のトリは、他のトリの巣に卵を産んで育てさせる「托卵(たくらん)」を行います。

しかも孵化したばかりのヒナは、自分が生き残るため、同じ巣のヒナや卵を担いで巣の外に捨てることさえするのです。

イギリス・ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校生命環境科学部に所属するステファニー・マクレランド氏ら研究チームは、孵化前の托卵鳥のヒナが卵の中で運動し、義兄弟を殺すための力をつけていたと発見しました。

研究の詳細は、10月26日付の科学誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。

托卵戦略におけるヒナの役割

托卵鳥は自分のヒナの生存率を上げるため、様々な手段を講じます。

例えば、コウウチョウ(学名:Molothrus ater)は、托卵されるトリ(仮親)の卵に似せた卵を産むことで生存率を上げています

またノドグロミツオシエ(学名:Indicator indicator)は、仮親の卵に穴を開けて殺し、競争相手を減らしてしまいます

しかし托卵鳥の母親が介入できるのは、準備の段階までです。

孵化した後は、托卵鳥のヒナが、自分の力だけで生き残らなければいけないのです。

卵を背中で押して落とそうとするヒナ
卵を背中で押して落とそうとするヒナ / Credit:Review Bird Nest(Youtube)_Brood Parasite – Birds kill their own families-Cuckoo chick (2021)

そして一般的に見られるヒナの生存戦略は、「他の卵や孵化した義兄弟を巣から落とす」というものです。

托卵する鳥として有名なカッコウのヒナの場合、この行動を実現しやすくするために巣で一番早く生まれるよう短期間で孵化するようになっており、さらに卵を押し出すための窪みが背中に備わっています。

遺伝レベルで、巣の他の兄弟を殺すようプログラムされているのです。

しかし、それでもこの方法には不思議な点がありました。

それは「孵化したばかりのヒナが、自分の体重とほぼ同じ重さの卵を持ち上げられるのはなぜか?」という点です。

これは人間に例えるなら、生まれたばかりの赤ちゃんがボウリングの玉を持ち上げるようなものです。

托卵鳥のヒナの力の秘密はどこにあるのでしょうか?

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