イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見! アルツハイマーを封じ込めることに成功
イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見! アルツハイマーを封じ込めることに成功 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見! アルツハイマーを封じ込めることに成功

2021.11.08 Monday

イキイキ生活をボケ防止に変換してくれる遺伝子があるようです。

米国MIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によれば、刺激が多い環境に反応して、認知機能を維持する遺伝子「MEF2」が発見された、とのこと。

教育レベルが高かったり生きがいを得て刺激的な日々を送っている人間、そしてオモチャの多い環境で育ったマウスは「MEF2」が活性化されており、認知症の発生率が大きく下がっていたのです。

研究内容の詳細は11月3日に『Science TranslationalMedicine』で公開されています。

Study links gene to cognitive resilience in the elderly https://news.mit.edu/2021/gene-cognitive-resilience-elderly-1103
MEF2 is a key regulator of cognitive potential and confers resilience to neurodegeneration https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.abd7695

イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見!

環境の変化を検知してアルツハイマー病に抵抗する遺伝子が発見されました
環境の変化を検知してアルツハイマー病に抵抗する遺伝子が発見されました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
同じアルツハイマーになりやすい遺伝的特徴を持つマウスを全く異なる環境で育てます
同じアルツハイマーになりやすい遺伝的特徴を持つマウスを全く異なる環境で育てます / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
イキイキ環境ではマウスは正常のままですが、ドンヨリ環境ではアルツハイマー病の症状が悪化しました
イキイキ環境ではマウスは正常のままですが、ドンヨリ環境ではアルツハイマー病の症状が悪化しました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
人間では高学歴・知的仕事・刺激的な生活がボケ防止遺伝子を活性化していました
人間では高学歴・知的仕事・刺激的な生活がボケ防止遺伝子を活性化していました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

現在、認知症は老化と同じく避けては通れない問題となっています。

65歳以降の16%が既に認知症であり、80代後半になると男性の35%、女性の44%が認知症になるとされています。

特にアルツハイマー病は認知症全体の過半数を超える症例となっており、治療薬の開発が急がれます。

一方で以前から、アルツハイマー病になっても、影響を受けにくい人々がいることが知られていました。

これら耐性のある人たちは、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβがに蓄積しているにもかかわらず、高い認知機能を維持していたのです。

そこで今回、MITの研究者たちは1000人の遺伝データと認知症の症状を比較し、認知症に対抗する遺伝子の存在を探すことにしました。

結果「MEF2」と呼ばれる遺伝子が、耐性のある人々で活性化していると判明します。

また興味深いことに、耐性のある人々の多くは高学歴で知的労働に従事しているか、生きがいをもった刺激的な日々(イキイキ生活)を送っていることが示されました。

ただこの段階では、イキイキしていることが「MEF2」の活性化を起こしているか「MEF2」の働きが生まれつき活発な人が結果としてイキイキしているように見えるのかは不明でした。

つまり、原因が先天性(遺伝)のものか後天性(イキイキ生活)のものか、区別がつかなかったのです。

そこで研究者たちは、イキイキ環境とドンヨリ環境の2種類をマウスたちに用意して、環境の差が遺伝子を活性化させるかどうかを確かめることにしました。

環境の違いが遺伝子を目覚めさせることができたのでしょうか?

次ページイキイキマウスはアルツハイマー病になっても症状が抑えられる

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