25年間ヘビの毒を趣味でキメてきた男、その体が血清の宝庫となってしまう

science_technology 2017/12/13
Credit: youtube

Steve Ludwin氏はアメリカ出身のロック歌手。ですが、ただのロック歌手ではありません。彼はなんと25年間ずっと、世界で最も強力な毒ヘビの毒を打ち続けているのです。

そんな彼に目をつけたのが、コペンハーゲン大学の研究チーム。彼らはLudwin氏のDNAから作られた抗毒血清のライブラリー(リソース)化を完了させ、それを蛇に咬まれた時の抗毒血清を開発するために使用すると発表しました。

蛇に咬まれるリスクは、発展途上国にとって深刻な問題です。世界中で約15万人が死亡し、40万人が毒によって手足などの切断を余儀なくされています。

抗毒血清は通常、人々に使用される前に、まず馬などの体の中で成熟した抗体を抽出して精製します。ヘビが出した毒を馬などに注射すると、動物がヘビの毒に対する抗体を作り出すのです。

多くの場合はその血清によって命が救われますが、中には動物の中で育った抗体の副作用によって苦しんだり、さらにその後アレルギー反応を起こして亡くなる人もいます。よって、ヘビ毒に侵された人が取る選択肢は、副作用によって苦しむリスクを取るか、確実に死に至るかのどちらかとなります。

コペンハーゲン大学のLohse研究所では、ウイルス粒子などの生物システムにDNAを加えることで、粒子が抗体を生み出す研究をしています。彼らの研究目標は、馬から血清をつくる必要性をなくし、副作用の心配もない、より効果的で安全な抗毒剤がつくられること。

Ludwin氏の一見常軌を逸したヘビ毒チャレンジは、このような抗毒血清の作製を通じて、数々の人の命や健康を救うことになりそうです。

蛇のペット、そして「蛇毒注射の先輩」との出会い

そもそもLudwin氏は、なぜ毒ヘビの毒を注射するようになったのでしょうか。

通常「自身の体に毒を打つ」など考えられないこと。しかしLudwin氏は、実際に過去13年間風邪やインフルエンザにかかっていません。彼にとって毒注射は、もはや薬物治療なのです。

しかし健康的利点はこれだけではなく、実は身体的にも若返るのだとか。

「私は、毎週、私よりもずっと若い人と一緒にテニスをするんだ。テニスの1時間前にコブラとガラガラヘビの毒を打つんだけど、これで23歳に戻った気分になれる」

Credit: photoshelter

彼は現在50歳とのことですが、確かに少しだけ若くみえる……かも?

しかし毒を打った後数分間は、しゃく熱感と共にむくみやあざがあり、数百匹のスズメバチから刺されたように感じるということは、彼自身認めています。

彼がそこまでして毒注射をうつようになったきっかけは、幼少期にありました。

コネチカット州で過ごしていた時、Ludwin氏は3歳にして爬虫類に興味を持ち、絵に描くほど気に入っていたそうです。

そして10歳の時、両親が無毒大型のヘビであるボアをLudwin氏にペットとして買い与えました。これが最終的な決めてとなり、ついに彼はヘビの魅力の虜となります。

試験飛行パイロットだったLudwin氏の父親は、Ludwin氏をマイアミのヘビの研究所へ連れていきました。そして彼は、そこで運命の出会いを果たします。研究所でガラガラヘビとコブラの毒の研究をしていたBill Haast氏に出会ったのです。

彼は西洋で初めて自身に毒を注射した人物で、彼の血液をヘビで噛まれた犠牲者に抗体として使おうと試みていたそうです。そして、生前のHaast氏はほとんど病気をせず、100歳でこの世を去りました。

まだ少年だったLudwin氏にとって、このHaast氏との出会いは衝撃的でした。

その後Ludwin氏は、ロンドンへ移住し、毒を絞る技術を習得します。その方法は、ショットグラスにサランラップを貼り、タイミング良くヘビにそのグラスの中に毒を吐かせるというもの。

Credit: dailymail

現在では彼は、バンドでパンクロックを歌い、曲を提供し、そして毒でうがいをします。ここまで来るともはや驚きもしませんが、Ludwin氏は自宅に18匹のヘビを飼っています。

しかしもちろん、毒注射には危険が伴います。彼は昔、危うく命を落としそうになったこともあるそうです。8年前に起きたある出来事によって、彼にとってこれが危険なことであると思い知らされました。

「私はバカなことに、私のガラガラヘビとマツゲハブ、タイワンアオハブの毒を混ぜ合わせて、それを打ったんだ。これは健康のための実験としてやったんだけどね。でも、大変な間違いだったよ。この混ぜた毒を左手の手首に打ったんだけど、その瞬間に思った。ああ、終わった…ってね。なにせ自分の手が野球のグローブのように腫れあがり、腕から肩まで何かの液体で一杯になったような感覚になったんだから」

Ludwin氏はその後3日間を集中治療室で過ごし、腕を切り落とさなければいけなくかるかもしれないと告げられたものの、無事に回復したそうです。

そのような死線をかいくぐっても毒を打ち続けるのは、もはや才能なのかもしれません。

 

以下、SNSの反応です。色々な作品を思い浮かべる方が多い様子。

注射の様子など。苦手な方はご注意。

The man who injects himself with snake venom – CNN

 

くれぐれも、良い子は真似しないでくださいね。

 

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via: sciencenordic, dailymail / text by nazology staff

 

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