ネコが「ゴロゴロ」と鳴く仕組みは?
ネコが「ゴロゴロ」と鳴く仕組みは? / Credit: jp.depositphotos
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ネコの「ゴロゴロ音」はどうやって発声されるのか

2022.02.06 Sunday

ネコの鳴き声といえば「ニャー」ですが、他に「ゴロゴロ」と喉を鳴らす音を出します。

ニャーの発声は、私たちが話すのと同じように行われますが、ゴロゴロは違います。

ゴロゴロは一体どうやって発声されるのか、また何の目的でゴロゴロと鳴くのか。

それから、ゴロゴロを含む愛猫の鳴き声が飼い主に与えるメリットまで、以下で紹介していきます。

Okay… How Do Cats Purr? https://www.earth.com/earthpedia-articles/okay-how-do-cats-purr/

「ニャー」と「ゴロゴロ」の発声はどう違う?

ゴロゴロの発声を理解するには、まず喉の解剖学から始める必要があります。

一般的にネコは、人と同じように喉頭(こうとう)を使って声を出します。

喉頭は喉の奥にあたる気管の入り口に位置し、軟骨、筋肉、骨の組み合わせから出来ています。

喉頭にあるのは主に、声帯喉頭蓋(こうとうがい)の2つです。

声帯は、発声時に適度な強さで閉じて、吐く息により振動しながら声を出します。

喉頭蓋は、呼吸をするときに開き、ものを飲み込むときに固く閉じて、食べ物が気管へ入らないようにしています。

また、喉頭蓋の中心は声門と呼ばれ、垂直方向の筋肉が並んでおり、それが気道の拡張と収縮を制御しています。

喉頭の図
喉頭の図 / Credit: 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会より

ネコが「ニャー」と鳴くのは、私たちが話すのと同じ方法です。

音を出すために2つの喉頭筋が触れ合い、振動します。この振動は、息を吐き出すときに空気が押し出されることで起こります。

同時に、開口部の大きさを調節する別の筋肉群によって、さまざまな音程が作り出されます。

一方で、「ゴロゴロ」という音は、これと同じ仕方では出ません。

「ニャー」は息を吐いている間だけ出ますが、「ゴロゴロ」は息を吸うときにも出ます。

ゴロゴロは、ネコの呼吸で空気が押し出されたり入ってきたりして、声帯の筋肉が振動することで始まります。

そして、その音は骨から出ているのです。

ネコには必ず舌骨(ぜっこつ)という骨があります。舌骨は喉の奥にあり、舌と喉頭を支えています。

この舌骨に声帯の振動が当たると、低周波の残響として「ゴロゴロ」と音が出るのです。

振動が舌骨に当たることで「ゴロゴロ」と鳴る
振動が舌骨に当たることで「ゴロゴロ」と鳴る / Credit: jp.depositphotos

ちなみに、同じネコ科でも、ヒョウ亜科に属するライオンやジャガー、ヒョウ、トラの「ゴロゴロ」は音がまったく違います。

ネコのそれが比較的穏やかな音色なのに対し、ヒョウ亜科のゴロゴロはほとんど「ガルルル!」に聞こえます。

原因は舌骨にあり、ネコの舌骨が硬く、完全に骨化しているのに比べ、ヒョウ亜科では柔軟で、骨化していません。

それによって声道が伸び、轟音のような咆哮が出せるのです。

次ページゴロゴロはネコにも飼い主にも「健康効果」がある

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