夜中に目覚めてしまうのは「覚醒信号の早漏」が原因と判明!【スタンフォード大学】
夜中に目覚めてしまうのは「覚醒信号の早漏」が原因と判明!【スタンフォード大学】 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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高齢者が夜中に目覚めてしまう原因はナルコレプシーの逆転現象だった! (4/4)

2022.03.01 Tuesday

2022.02.28 Monday

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高齢者が長時間ぐっすり眠れる薬が開発できる

高齢者が長時間ぐっすり眠れる薬が開発できる
高齢者が長時間ぐっすり眠れる薬が開発できる / Credit:Canva

今回の研究によって、加齢にともなって夜中に目が覚めるようになってしまう現象の正体が明かされました。

突発的に目覚める睡眠の断片化は、突発的に眠るナルコレプシーと表裏の関係にあり、脳を覚醒させるシステムの過敏化が原因となっていました。

(※ナルコレプシーは覚せいシステムの欠如が原因で夜中に起きる睡眠障害は覚せいシステムの過敏化が原因)

また過敏化の起こるメカニズムは、脳細胞の静止時(OFF時)の電位を維持するタンパク質(カリウムイオンチャンネル)が減少し、常にONに近い状態になっていることが原因でした。

そしてカリウムイオンチャンネルの働きを高める薬を投与することで、老マウスに起きていた睡眠の断片化を取り除くことにも成功します。

睡眠の断片化はマウスでもヒトでも同じような仕組みで起きている可能性が高く、同様の処置で高齢者たちの睡眠を若い時と同じ状態に改善できると考えられます。

ただ問題がないわけではありません。

老マウスの睡眠改善に用いたフルピルチンはかつて人間用の鎮痛薬として用いられていましたが、肝臓に対する毒性が発見されたために、欧州医薬品庁は2013年に急性の痛みに対してのみに使用が制限され、その後2018年には販売承認が取り消されました。

そのため研究者たちはフルピルチンの作用に似た毒性のない薬を開発する必要について言及しています。

ですが改良元となる薬が存在する場合、0から薬を開発するよりも迅速に開発が進むと期待されます。

もしかしたらそう遠くない未来では、夜中に目覚める高齢者がいなくなり、老人が早起きだという常識も通用しなくなるかもしれません。

それまでは「覚醒信号の早漏」を引き起こさないように、寝室を刺激(光や音など)の少ない環境にしたりするなど、既存の対処療法で一緒に頑張っていきましょう。

【編集注 2022.03.01 15:00】
記事内容に一部表現及び誤字を修正して再送しております。

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