観測された衝撃波は天の川銀河の60倍近い範囲にまで広がっている
観測された衝撃波は天の川銀河の60倍近い範囲にまで広がっている / Credit:Francesco de Gasperin, SARAO
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Fast and furious: A shock wave that extends for 6.5 million light years https://www.sarao.ac.za/media-releases/fast-and-furious-a-shock-wave-that-extends-for-6-5-million-light-years/ Largest shock wave in the universe is ’60 times larger than the Milky Way,’ new study finds https://www.livescience.com/merging-galaxy-cluster-abell-3667-shock-wave
MeerKAT view of the diffuse radio sources in Abell 3667 and their interactions with the thermal plasma https://doi.org/10.1051/0004-6361/202142658

2022.03.01 Tuesday

銀河団同士の衝突が天の川銀河の60倍に及ぶ「宇宙最大の衝撃波」を生んでいた

非常に巨大な宇宙の構造物「銀河団」同士が衝突したとき、それは宇宙最大の衝撃波を発生させるようです。

天文学の国際研究チームは、南アフリカの「MeerKAT電波望遠鏡」を使用して、2つの銀河団の衝突で発生した巨大な衝撃波の全貌を観測することに成功しました。

この観測により、銀河団「エイベル3667(Abell 3667)」の誕生によって生じた衝撃波が天の川銀河の約60倍もの距離まで広がり、2億年間ほぼ光速で伝播していたことが判明したとのこと。

研究の詳細は、2月7日付で科学雑誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されています。

 

銀河団同士が衝突すると何が起きるのか?

宇宙の天体はみな動き回っているため、長い歴史の中で幾度も衝突と合併を繰り返しています。

これは星同士だけでなく、銀河同士でも起きていて、天の川銀河も過去に何度か他銀河との衝突を繰り返していたことがわかっています。

そして、それはさらに巨大な構造である銀河同士が集まった2つの「銀河団」の間でも起こるのです。

では、宇宙の巨大構造である銀河団同士が衝突したとき、果たして何が起きるのでしょうか?

銀河団エイベル3667。個々の銀河は小さすぎて画像には映っていない。白いモヤは銀河団に浸透するガスの分布。赤い構造がエイベル3667が掲載された際に生じた衝撃波。
銀河団エイベル3667。個々の銀河は小さすぎて画像には映っていない。白いモヤは銀河団に浸透するガスの分布。赤い構造がエイベル3667が掲載された際に生じた衝撃波。 / Credit:Francesco de Gasperin, SARAO

地球から約7億3000万光年離れた領域には「エイベル3667(Abell 3667)」と呼ばれる銀河団が存在しています。

(銀河団を集めたカタログの1に、天文学者ジョージ・エイベルが作製したエイベル・カタログがあります。この銀河団の命名はそのカタログの番号から来ています)

エイベル3667は550以上の銀河を従えた非常に巨大な集団ですが、その中は非常に混沌とした撹拌状態になっています。

これはエイベル3667が、2つの銀河団の衝突の結果形成された銀河団であるためだと理解されています。

そして、その非常にスケールの大きな衝突は、この地域に巨大な衝撃波を発生させていたのです。

その衝撃波は電波波長でしか見ることができず、ほとんどの望遠鏡では観測することができませんが、銀河団の両側から広がっていることがわかっていました。

今回、天文学の国際チームは、南アフリカの「MeerKAT電波望遠鏡」を使い、このとてつもない衝撃波の全貌を観測したのです。

この観測で確認された、衝撃波は、銀河団の両側から2方向へ650万光年の大きさで広がっていました

これは私たちの天の川銀河の60倍に及ぶサイズです。

銀河団の両側から発生している衝撃波の片方を拡大した画像。映っている光の点は銀河団のはるか前方にある星、または後方にある天体で集団の一部ではありません。画像右上の点が比較のために衝撃波と同じ位置に置いた場合の天の川銀河のサイズです。
銀河団の両側から発生している衝撃波の片方を拡大した画像。映っている光の点は銀河団のはるか前方にある星、または後方にある天体で集団の一部ではありません。画像右上の点が比較のために衝撃波と同じ位置に置いた場合の天の川銀河のサイズです。 / Credit:Francesco de Gasperin, SARAO

上の画像では、比較のために天の川銀河のサイズが記されています。

これを見ると、この衝撃波がいかに巨大なものであるかがわかります。

チームは、10億年以上前に2つの巨大な銀河団が衝突して、エイベル3667を形成するとともに、この衝撃波を生成したと考えています。

この衝撃波の構造は想像以上に複雑だといいます。

チームの主任研究者であるドイツ・ハンブルク大学のフランチェスコ・デ・ガスペリン(Francesco de Gasperin)氏は、次のように語ります。

「衝撃波は、電子を光速に近い速度まで加速する巨大粒子加速器と同様に機能したと考えられます。

こうした高速の電子が磁場を横切ることで、私たちに観測可能な電波を放出しています」

この衝撃波は、現在もマッハ2.5(時速1500km)に相当する速度で宇宙に広がり続けていますが、最初の2億年間はほぼ光速で広がり続けていたと考えられます。

衝撃波を横切る磁力線を示した画像
衝撃波を横切る磁力線を示した画像 / Credit:Francesco de Gasperin, SARAO

銀河団は巨大な重力結合によって作られた構造です。

そのため、この2つの巨大構造の合体は、単一のイベントとしては、ビッグバン以来最大量のエネルギー放出をしただろう、と研究者たちは語っています。

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