女王アリは赤ちゃんのときから姿が特別だった
女王アリは赤ちゃんのときから姿が特別だった / Credit: NAOTO IDOGAWA et al., Zootaxa(2022)
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Larva ant queen looks like an alien doll in trippy new microscope images https://www.livescience.com/m-triviale-queen-ant-larva
Morphology of immatures of the thelytokous ant, Monomorium triviale Wheeler (Formicidae: Myrmicinae: Solenopsidini) with descriptions of the extraordinary last-instar queen larvae https://mapress.com/zt/article/view/zootaxa.5105.2.5

2022.03.23 Wednesday

女王アリの赤ちゃんは「エイリアンのぬいぐるみ」のような見た目をしていた

人の上に立つキングやクイーンは、象徴的な王冠を身につけて、自らと一般市民を区別します。

このほど、京都大、甲南大、東京大の新たな研究により、キイロヒメアリ(Monomorium triviale)の女王が、これと同じことをベビーのときからしていることが判明しました。

顕微鏡で本種の幼虫を観察したところ、女王アリの姿は、他の働きアリとまったく違い、王冠のような突起が生え出ていたとのこと。

赤ちゃんのときから、女王は特別だったようです。

研究の詳細は、2022年3月3日付で科学雑誌『Zootaxa』に掲載されています。

キイロヒメアリはすべてメスで、オスは存在しない?

キイロヒメアリ(M. triviale)は、日本や中国、韓国を原産とする琥珀色のきれいなアリです。

面白いことに、本種の女王アリは、単為生殖によって未受精卵を産むため、子どもを増やすのにオスを必要としません。

実際、今回発表された研究でも、オスの個体はいまだ見つかっておらず、すべてメスであることが明記されています。

そのため、本種のアリは、おもに2つのカテゴリーに分けられます。

「不妊の働きアリ」「繁殖力のある女王アリ」です。

キイロヒメアリの成虫
キイロヒメアリの成虫 / Credit: antwiki

本研究では、この2タイプのアリの違いを、最も初期のベビーの段階から理解することを目指しました。

そこでチームは、京都市近郊の雑木林からキイロヒメアリの巣をいくつか採取し、未熟なコロニーを実験室内の人工巣に移設。

数種の高解像度顕微鏡を使って、アリの幼を観察しました。

女王アリの赤ちゃんは「ドアノブのような突起」を生やす

2つのタイプはともに、成長するにつれて定期的に外骨格を脱ぎ捨て、新しい形態(1齢、2齢などと呼ばれる段階)に変化します。

観察の結果、女王アリも働きアリも最初は長方形の塊をしており、孵化後数日で口器が発達し、体に沿って小さなとげのある毛が生えました。

ところが、最終齢になると、女王アリの赤ちゃんは、働きアリとまったく違う姿に変貌したのです。

他の働きアリが細かな毛を生やしているのに対し、女王には毛がなく、代わりにドアノブのような出っぱりを生やしていました。

正式には「円形小突起(tubercles)」と呼ばれ、全部で37個が確認されています。

女王アリの赤ちゃんの姿
女王アリの赤ちゃんの姿 / Credit: NAOTO IDOGAWA et al., Zootaxa(2022)

その姿は、まるでエイリアンのぬいぐるみのように可愛らしいものでした。

この特徴の違いで、大人の働きアリは、のちの女王を他の赤ちゃんと区別していると考えられます。

また、こうした女王特有の構造は、日本で見られる近縁種はもちろん、一般的なアリでも見つかっていません。

では、女王アリの突起は何のためにあるのでしょうか?

次ページ突起の予想される「5つの機能」とは

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