なぜ古代ローマ人は「男性器」の落書きをしたのか?
なぜ古代ローマ人は「男性器」の落書きをしたのか? / Credit: Jon Allison, Newcastle University(Historic England, 2019)
history archeology

『ゲーム・オブ・スローンズ』壁の元ネタ「ハドリアヌスの長城」に男性器の落書きを大量発見! (2/2)

2022.05.10 Tuesday

前ページハドリアヌスの長城に「男性器」の落書きを大量発見!

<

1

2

>

男性器は「幸福」や「魔除け」のシンボルだった?

落書きは古代ローマ人の生活の一部であり、落書きをする権利は市民の権利として広く認められていました

そのため、文字や絵など多くの落書きを残していますが、中でも「男性器」は、ふざけて描いたわけでなく、非常に特別な意味が込められていたのです。

その意味合いはローマ世界で共通しており、「幸福」や「魔除け」のシンボルとなっていました。

男性器を玄関の出入り口に描いて悪運を払ったり、また、庭先に描いて鳥よけにしたと言われています。

古代ローマ人にとって、男性器はお守りのようなもので、男性器の小さな像まで作って、持ち歩いたそうです。

ハドリアヌスの長城に見られる男性器の彫刻
ハドリアヌスの長城に見られる男性器の彫刻 / Credit: University of Newcastle / ZME SCIENCE-The Romans drew penises all over Hadrian’s Wall(2022)

一方で、領土外の異民族に対しては、一転して「威嚇」や「警告」の意味合いを持っていました。

というのも、古代世界における男性器は、単なる身体部位だけでなく、剣、槍、矢といった武器と強く関連づけられていたからです。

さらに当時、軍隊がその権威を行使するための手段として「強姦」が認められていたため、男性器のシンボルは、異民族への警告メッセージとして十分機能したのです。

たとえば、長城の壁に「ここから先、入るべからず」とラテン語で書いても、異民族には伝わりませんが、男性器を描いておけば、その意図するところは想像できます。

よって、現代人には悪ふざけに見える落書きも、当時の侵入者の目には、威圧的なシンボルとして映ったことでしょう。

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!