キツツキの脳サイズなら、脳震盪は起きない
![エボシクマゲラ](https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/07/aud_apa-2020_pileated-woodpecker_a1-12053-1_ts_photo-gordon-congdon-600x600.jpeg)
キツツキの一回一回のつつき行動は、サルやヒトの脳サイズであれば、脳震盪を起こすのに十分な衝撃があります。
しかし調査の結果、キツツキ程度の小さな脳であれば、その衝撃でも脳にダメージを与えるには及ばないことが明らかになったのです。
ワッセンベルク氏は「キツツキの脳サイズを踏まえた場合、つつき行動による衝撃は、脳震盪を起こす閾値をはるかに下回っていた」と説明します。
![(A)人間の脳と(B)3種のキツツキの脳を比較した図。キツツキの脳サイズでは脳震盪の閾値圧力が人間よりも有利であることがわかる](https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/07/24c663c1e792eae63776cb267de52afa-900x325.jpg)
また、キツツキがつつく木の幹は、比較的柔らかな素材で、すぐに変形しうるため、その分、脳への衝撃も軽減されていました。
研究チームによると、キツツキの脳がダメージを受けるには、今の2倍の速度で木をつつくか、あるいは、金属のようなより硬い表面をつつく必要があるとのことです。
そうすれば、さすがのキツツキも脳震盪を起こすと予想されます。
最近の研究では、頭突きをする動物は脳に障害を受けている可能性が指摘されていますが、キツツキの場合は特別な機能を体が持たなくても脳へのダメージは心配がないようです。
今回の研究成果は、長年、専門家の間で広まっていた”衝撃吸収説”に真っ向から反論するものです。
さらに、生物進化の視点からすると、より大きな頭や首の筋肉を持つキツツキが存在しない理由も、これで説明がつくかもしれません。
大きな頭や筋肉を備えたキツツキは、より強力なつつきができますが、それはキツツキの脳サイズでも脳震盪を起こすリスクを高めてしまいます。
今ぐらいのサイズ感であれば、余分な衝撃吸収材も必要とせず、思い切って木つつきができるようです。