「アロマキャンドルに匂いがしない」Amazonレビューがコロナ感染者の急増を反映していた
「アロマキャンドルに匂いがしない」Amazonレビューがコロナ感染者の急増を反映していた / Credit: canva
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「アロマキャンドルに匂いがない」Amazon低評価レビューにコロナ感染状況が反映されていた

2022.10.14 Friday

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のよく聞く症状の1つに「匂いがしなくなる」というものがあります。

普段食べているものに味や匂いを感じなくなると、コロナ感染の疑いがあります。

それに関連して、このほど、興味深い報告がなされました。

2020年のコロナ初期流行時に、アメリカのAmazonサイトでアロマキャンドルを購入した人々から、「匂いがしない」という低評価レビューが急増していたことが判明したのです。

その後、米ノースイースタン大学(Northeastern University)の研究者が調査した結果、1週間にコロナ患者数が約10万人増えるごとに、「匂いがしない」とのレビューが0.25%増加するという相関関係が確認されました。

世界の異変の兆候が、実はAmazonレビューから現れていたというのは興味深い話です。

研究の詳細は、2022年5月31日付で学術誌『Proceedings of the International AAAI Conference on Web and Social Media』に掲載されています。

‘Zero scent’: could negative reviews of smelly candles hint at a Covid surge? https://www.theguardian.com/world/2022/oct/13/zero-scent-candles-covid
Detecting the Effect of Covid Anosmia on Amazon Reviews Using Bayesian Vector Autoregression https://ojs.aaai.org/index.php/ICWSM/article/view/19388

コロナ感染者の急増は「Amazonのレビュー」に反映されていた!

問題となっている商品は、アメリカで最も人気のアロマキャンドルブランド「ヤンキーキャンドル(YANKEE CANDLE)」です。

ヤンキーキャンドルは、世界50カ国以上で販売されており、「スパイスパンプキン」や「ウォームアップルパイ」など、600種類以上の豊富な香りを取り揃えています。

しかし、2020年の感謝祭(11月26日木曜日)の数日前、アメリカ在住のあるTwitterユーザーが、Amazonサイトにて、「ヤンキーキャンドルに匂いがない」と訴える否定的なレビューが急増していることに気づいたのです。

「もしかして、コロナパンデミックの隠れた予兆なのだろうか」と、そのユーザーは考えたという。

実際、Amazonには10万件を超えるレビューが寄せられており、疫学的にも有用なデータとなり得ます。

このツイートは当初、冗談として流されたものの、今年に入ってから、正式な研究により検証されることとなりました。

2020年11月に「匂いがしない」レビューが急増
2020年11月に「匂いがしない」レビューが急増 / Credit: canva

調査を請け負ったのは、米ノースイースタン大学の政治・統計学者であるニック・ビーチャム(Nick Beauchamp)氏です。

ビーチャム氏は、ヤンキーキャンドルのレビュー約1万件と、コロナ発症件数のデータとの相関性について分析。

その結果、1週間に10万人の新たなコロナ患者が増えるごとに、「匂いがしない」という低評価レビューの件数が0.25%増加することが判明したのです。

また、低評価レビューの増加が、単に冬時期にキャンドルを買う人が多いからではないことを確認するため、季節性をコントロール。

他にも、「いい香りがする」という高評価レビューと、コロナ感染者数との相関関係も調査しました。

これらを考慮しても、結果に変化がないことが確認されています。

さらに、両者の相関関係は、2022年の初頭においても継続していました。

相関関係は2022年に入っても続いていた
相関関係は2022年に入っても続いていた / Credit: canva

その一方で、ビーチャム氏は、「匂いがしない」レビューとコロナ感染者数との間に、有意な予測関係は見つからなかったと指摘。

よって、低評価レビューは、パンデミックのデータを予見するというよりは、むしろ感染者数の急増を「鏡のように反映しているだけ」であると結論しています。

それから、感染者の1例目は、2019年12月初旬に、中国の武漢市で確認され、その後、世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症を「パンデミック(世界的な大流行)」と認定したのは、2020年3月11日です。

レビューとの相関関係が発覚したのが2020年の11月で、ビーチャム氏の調査はそれ以降に焦点を当てたものですから、「匂いがしない」レビューの急増が、コロナパンデミックの始まりを世界に先駆けて予兆していたわけでもありません。

ところが、2022年現在、その事情もすでに変わり始めているようです。

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