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Credit: Dagmara M.Socha et al., Journal of Archaeological Science(2022)
history archeology
Before Being Ritually Sacrificed, This Nazca Child Was Drugged With Psychedelics https://www.sciencealert.com/before-being-ritually-sacrificed-this-nazca-child-was-drugged-with-psychedelics Trophy Head Shows Child Victim Consumed San Pedro in Nazca Peru https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/san-pedro-consumption-0017470
Use of psychoactive and stimulant plants on the south coast of Peru from the Early Intermediate to Late Intermediate Period https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0305440322001467

2022.11.02 Wednesday

子供には幻覚剤を与えて生贄に…ナスカの”首刈りの儀式”とは?

地上絵で有名な「ナスカ(Nazca)」は、紀元前100年〜紀元後800年頃までペルー南部の海岸付近で栄えた古代文化です。

ナスカでは大人と子どもに関係なく、首を切り落として神に捧げる”首刈りの儀式”が行われていました。

その頭蓋骨に穴をあけて紐を通した頭部は「トロフィーヘッド(trophy head、捧げ物の首)」と呼ばれ、干ばつや水不足、不作を克服するための生贄に供されたのです。

そしてこのほど、ポーランド・ワルシャワ大学(University of Warsaw)の最新研究により、生贄にされた子どもや女性は、首を落とされる前に精神作用のある薬物を摂取していたことが判明しました。

トロフィーヘッドから採取した毛髪の中に、幻覚作用のある植物の成分が検出されたとのこと。

研究者は「首狩りの犠牲者が、死ぬ前に幻覚剤を投与されていたことを示す初の証拠だ」と話しています。

研究の詳細は、2022年10月13日付で学術誌『Journal of Archaeological Science』に掲載されました。

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女性と子どもには薬物を与え、男性には与えなかった?

本研究では、1982年に始まった長期的な考古学計画「ナスカ・プロジェクト(Nazca Project)」において、ペルー南部の海岸近くで発掘されたナスカ時代のミイラを対象としました。

調査されたのは、18体のミイラ(頭部以外を含む)4つのトロフィーヘッドです。

18体のミイラには成人男女と子どもが含まれ、トロフィーヘッドはうち1つが子どもの頭部でした。

研究チームは、それぞれのミイラから毛髪サンプルを採取し、そこに含まれる化学物質を分析。

その結果、犠牲者のほとんどが、何らかの精神作用や幻覚作用のある植物を摂取していたことが明らかになったのです。

子どものトロフィーヘッド
子どものトロフィーヘッド / Credit: Dagmara M.Socha et al., Journal of Archaeological Science(2022)

子どもの毛髪からは、麻酔性や幻覚作用のあるメスカリンを含むことで知られる「サンペドロサボテン(学名:Echinopsis pachanoi)」の成分が検出されました。

サンペドロサボテンは、今回のナスカの文明より古いアメリカ大陸の先住民が伝統的な薬や儀式に使用していたことがわかっています。

研究主任のダグマラ・ソチャ(Dagmara Socha)氏は「この子どものトロフィーヘッドは、ペルー南部の海岸に住むナスカ人がサンペドロサボテンを消費していたことを示す最初のケースです」と説明します。

女性のトロフィーヘッド
女性のトロフィーヘッド / Credit: Dagmara M.Socha et al., Journal of Archaeological Science(2022)

成人女性のミイラからは、コカインの原料である「コカ(学名:Erythroxylum coca)」の葉っぱや、同じく幻覚作用を持つ「バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)」というツル植物の成分が検出されました。

バニステリオプシス・カーピは、ハルミンハルマリンというアルカロイド(植物由来の有機化合物)を含んでおり、これらは現代の抗うつ剤にも使われています。

一方で興味深いことに、成人男性のミイラとトロフィーヘッドからは何らの薬物成分も検出されなかったのです。

このことから、子どもと女性には、儀式の前に幻覚作用のある薬物を飲ませて気を落ち着かせていたと考えられます。

布に包まれたミイラ
布に包まれたミイラ / Credit: Dagmara M.Socha et al., Journal of Archaeological Science(2022)

といって、成人男性には「痛みに耐えよ」と我慢を強いていたとは断言できません。

研究チームはむしろ、これらの男性のミイラは紛争で捕獲されたナスカ社会には属さない捕虜の可能性が高いと推測します。

それゆえ、不安や恐怖を取り除くような薬物を与えなかったのかもしれません。

年代測定の結果、これらの薬物使用は紀元前100年〜紀元後450年の間であることが特定されています。

同じく布に包まれたミイラ
同じく布に包まれたミイラ / Credit: Dagmara M.Socha et al., Journal of Archaeological Science(2022)

さらにチームは、当時のナスカ社会が他文化との交易ネットワークを有していた可能性を指摘しました。

というのも、儀式に使われたコカの葉はペルー南部の海岸付近では栽培されておらず、ペルー北部やアマゾン地域に行かなければ手に入らなかったからです。

ソチャ氏は「ナスカ社会では予想以上に早くから交易ネットワークが築かれており、また他の文化圏でも、医療効果や幻覚作用のある植物が重宝されていたことがうかがえる」と述べています。

それでも、これらの薬物がナスカ社会にどれだけ浸透し、どれくらい頻繁に消費されていたかはわかりません。

ソチャ氏は、ナスカには文字による記録文化がないため、さらなる考古学的な発掘調査により、こうした謎を解き明かしていきたいと考えています。

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