勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明!
勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明!

2023.02.20 Monday

長さだけが伸びたようです。

米国のスタンフォード大学で行われた研究によって、勃起時の男性ペニスが、過去30年の間に太さはそのままに24%も長くなっていることが明らかにされました。

これまでの研究によって精子の質や男性ホルモン濃度が年々低下していることは知られていましたが、数十年規模で「ペニスの長さ」の変化を調べたのは、今回の研究が世界ではじめてとなります。

研究者たちは、精子の質や男性ホルモンの濃度を低下させた要因と同じものが、勃起時のペニスに対しては増長効果を与えた可能性があると述べています。

しかし、なぜ太さはそのままなのに長さだけが伸びてしまったのでしょうか?

研究内容の詳細は2023年2月15日に『The World Journal of Men’s Health』にて公開されました。

Is an increase in penile length cause for concern? https://scopeblog.stanford.edu/2023/02/14/is-an-increase-in-penile-length-cause-for-concern/
Worldwide Temporal Trends in Penile Length: A Systematic Review and Meta-Analysis https://wjmh.org/DOIx.php?id=10.5534/wjmh.220203

勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明!

勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明!
勃起ペニスの長さが30年間で24%も増加していると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

精子の数が年々低下している」というニュースを聞いたことがある人は多いでしょう。

恐ろしいことに、これは事実です。

男性の生殖にかかわるデータによると、53カ国に住む5万7000人の男性の精子を調べたところ、過去46年間で1mlあたりの精子数が1億400万個から4900万個に、実に50%以上(年率にすると1.2%)減少していたことが報告されています。

さらに精子の減少速度は加速しており、2000年から2018年までの毎年の減少率は2.6%にも及んで切ることが示されました。

受精に必要な精子は1つです。

しかし、膣から子宮への旅を乗り切れる精子は極めて少なく、子供をつくるには1mlあたり4000万個の濃さが必要とされています。

このしきい値を下回る場合、それだけ自然な受精は困難になっていきます。

男性ホルモンにはペニスを大きくする効果があります
男性ホルモンにはペニスを大きくする効果があります / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

男性に起きている変化は精子数だけではありません。

2007年に行われた研究では、平均的なアメリカ人男性の血中の男性ホルモン(テストステロン)濃度が1980年代から毎年約1%低下していることがわかりました。

具体的には、2004年に60歳だった男性は1987年に60歳だった男性に比べて、男性ホルモンが17%も低くなっていました。

男性ホルモン(テストステロン)は性欲を起こしたり、前向きな思考や高い集中力を発揮し、やる気を働かせるのにも役立つだけでなく、男性らしい筋肉が多い体を作るのを手伝い、さらには思春期にかけてペニスサイズを増大させる役割も担っています。

そのためもし男性ホルモン(テストステロン)が年々低下していった場合、理論的には、男性の解剖学的変化……すなわちペニスサイズが小さくなってしまう可能性がありました。

しかし数十年にわたりペニスサイズを測定し続けた研究はほとんど存在せず、ペニスに何が起きているかは謎となっていました。

そこで今回、スタンフォード大学の研究者たちは1942年から2021年にかけて発表された75の研究データをまとめ、アフリカ・アジア・ヨーロッパ・南北アメリカに在住する5万5761人のペニスサイズの時系列的な変化を追跡することにしました。

(※データには弛緩時の長さ・太さ、勃起時の長さ・太さなどが含まれていました)

すると弛緩時の長さと太さ、勃起時の太さの3項目については変化がみられなかった一方で、勃起時の平均長が過去29年間で12.19cmから15.24cmと24%も伸びていることが判明しました。

(※なお地域的な差としてサハラ以南のアフリカ人が最も長く、ヨーロッパ人・南アジア人・北アフリカ人で中程度、東アジア人が最も短くなっていました)

研究者たちは、このような短期間でのペニスサイズの急激な増大の背景には、農薬や身の回りの化合物に含まれる「ホルモンかく乱物質(環境ホルモン)」や、座りがちな生活や肥満など「ライフスタイルの変化」が存在している可能性があると述べています。

つまり精子数の減少や男性ホルモン(テストステロン)濃度の低下を引き起こしたのと同じ強力な力が、勃起時のペニスサイズを大きくしていた可能性があるのです。

ただ、太さはそのままに長さだけが伸びた原因については不明でした。

2014年に行われたヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカに住む1万5521人(17歳から91歳)のペニスを調べた研究では、勃起時の平均長が13.12cmと報告されているが、これは実際より大きい可能性があると指摘されている。
2014年に行われたヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカに住む1万5521人(17歳から91歳)のペニスを調べた研究では、勃起時の平均長が13.12cmと報告されているが、これは実際より大きい可能性があると指摘されている。 / Credit:David Veale et al . Am I normal? A systematic review and construction of nomograms for flaccid and erect penis length and circumference in up to 15 521 men . BJUI (2023)

研究者たちは今後、女性器についても測定を行い、男性のように解剖学的な変化(サイズ変化)が起きているかを確かめていくとのこと。

ただ今回の研究はデータを統合して分析したものなので、データが完全に信頼できるかどうかには多少疑問が残ります。

ペニスサイズなど人間のデリケートな部分の測定は難しい部分があり、研究ごとに測定を行う人物が医師の場合と本人の場合など、条件が大きく変化してしまうのが実情です。

そのため例えば2014年に行われたヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカに住む1万5521人(17歳から91歳)のペニスを調べた研究では、勃起時の平均長が13.12cmと報告されていますが、この数値は実際の平均より大きいだろうと研究者たちは述べています。

なぜならペニスサイズの測定研究に参加してくれるボランティアたちは、もともとペニスサイズに自信がある男性が多いと考えられるためです。

その証拠に、こうした研究から得られた数値に対する世の中の男性の意見を調査した研究では、自分のペニスサイズが平均よりも小さいと回答する傾向が強いことが知られています。

これは実際の平均よりも、データが水増しして報告された可能性を示唆しています。

そう考えると今回の研究報告はバカバカしいものにも思えてしまいますが、こうした傾向に今後人類の健康にかんする重大な変化や問題が隠されている可能性も十分に考えられます。

実際男性の性的能力にかんしては低下を示すデータが数多く報告されているのも事実です。

もしペニスの勃起時の長さのみが増大した原因を突き止められれば、精子数の減少や男性ホルモンの濃度低下など他の好ましくない現象も防げるようになるかもしれません。

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