ビデオ通話を好むオウムたち
ビデオ通話を好むオウムたち / Credit:INTERACT Animal Lab(YouTube)_Birds of a Feather DEMO(2023)
animals plants

かごの中の孤独なオウムがビデオチャットで元気になれると判明!

2023.04.26 Wednesday

ビデオ通話を行えば、たとえ家や病院でひとりだったとしても、家族や仲間と会話を楽しみ、孤独感を紛らわせることができます。

これは人間だけでなく、かごの中で孤独を味わっているオウムたちにとっても同じようです。

イギリスのグラスゴー大学(The University of Glasgow)コンピューティングサイエンス学部に所属するイエリナ・ヒルスキー・ダグラス氏ら研究チームは、ビデオ通話を楽しむオウムは遠く離れた仲間と交流することで社会的行動をとるようになり、元気になると報告しました。

かごの中で孤独を味わっているペットのオウムにこそ、ビデオ通話が必要だったのです。

この研究は、2023年4月24日にドイツで開催される、人と情報システムの相互作用に関する国際会議「2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems」で発表されます。

そして論文は2023年4月19日付で同会議の議事録に掲載されました。

VIDEO-CALLING TECH COULD HELP LONELY PARROTS FLOCK TOGETHER https://www.gla.ac.uk/news/headline_949129_en.html Lonely Parrots Love Video Chatting With Each Other, Study Finds https://futurism.com/parrots-video-chat-study
Birds of a Feather Video-Flock Together: Design and Evaluation of an Agency-Based Parrot-to-Parrot Video-Calling System for Interspecies Ethical Enrichment. https://dl.acm.org/doi/10.1145/3544548.3581166

孤独で寂しくなるのは人間もオウムも一緒かもしれない

コロナ禍での外出自粛や隔離は、私たち人間に深い孤独感や寂しさを植え付けましたが、ビデオ通話が大いに役立ちました。

人々は家や病室でひとりでも、家族や友人の姿や表情を見ながら、言葉を交わし、時に笑い合い、交流を深めることができたのです。

実は、コロナ禍の人間以外にも隔離された存在がいます。それはペットとして飼育されているオウムたちです。

オウムは本来群れで仲間たちと共に生活する
オウムは本来群れで仲間たちと共に生活する / Credit:Canva

オウムは知能が高く社会性の高い鳥類であり、野生では大きな群れで生活しています。

ところがペットとして飼育されているオウムたちは、大抵の場合、生涯のほとんどをかごの中で孤独に過ごし、仲間の姿を見たり鳴き声を聞いたりすることは稀です。

研究チームは、「アメリカだけでも2000万羽以上のオウムがペットとして飼われており、社会的、認知的、感情的なニーズを満たすための適切な刺激が不足しています」と述べています。

時にはこうした孤独がオウムに強いストレスを与え、ケージの周りを絶え間なく歩き回ったり、羽をむしり取ったりするなどの問題行動を引き起こします。

オウム同士のビデオ通話は、人間と同様にオウムの孤独を和らげるのか
オウム同士のビデオ通話は、人間と同様にオウムの孤独を和らげるのか / Credit:INTERACT Animal Lab(YouTube)_Birds of a Feather DEMO(2023)

では、人間で有効だった「ビデオ通話」によって、オウムたちの孤独感を紛らわせることはできるのでしょうか?

研究チームは、この点を確かめるため、合計18羽のペットのオウムに「ビデオ通話」を導入する実験を行いました。

それぞれのオウムたちは、飼い主のサポートのもと、自分たちの意思でタブレット機器を操作してビデオ通話するトレーニングを2週間受けました。

ベルを鳴らしてビデオ通話を要求するようトレーニング
ベルを鳴らしてビデオ通話を要求するようトレーニング / Credit:INTERACT Animal Lab(YouTube)_Birds of a Feather DEMO(2023)

まずオウムたちは、ベルを鳴らしてビデオ通話したいことを飼い主に知らせます。

飼い主がタブレットを起動させると、画面には「オウムの友達」が表示されるので、オウムは飼い主のサポートのもと画面をタッチして、自分の意志で通話したい相手を選ぶことができました。

飼い主のサポートのもと、オウムが自発的に交流相手を選択した
飼い主のサポートのもと、オウムが自発的に交流相手を選択した / Credit:INTERACT Animal Lab(YouTube)_Birds of a Feather DEMO(2023)

そうしてオウム同士のビデオ通話が始まると、飼い主は彼らの交流を見守りました。

この実験は約3カ月、合計1000時間以上にわたって実施され、オウムたちの様子や変化が観察されました。

次ページビデオ通話で繋がったオウムたちは一緒に歌ったり羽繕いしたりする

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!