恐竜時代の海洋爬虫類はやっぱり「首の長さが弱点」になっていた!
恐竜時代の海洋爬虫類はやっぱり「首の長さが弱点」になっていた! / Credit: SMNS – In the Age of Dinosaurs, long-necked marine reptiles were decapitated by their predators(2023)
paleontology

首長竜は「首の長さが弱点」になっていた!首を噛みちぎられた化石を発見

2023.06.21 Wednesday

太古の昔、恐竜時代の海には極めて長い首をもった爬虫類が繁栄していました。

その長い首は獲物の狩りに便利だった反面、「長すぎて逆に弱点になっていたのでは?」との疑問が大きな争点となっています。

そして今回、独シュツットガルト州立自然史博物館(SMNS)らの研究により、この謎に終止符を打つ化石が発見されました。

絶滅した海洋爬虫類の「タニストロフェウス」の化石を分析した結果、明らかに何者かによって首が噛み折られている証拠が見つかったのです。

やはり首の長さがアダとなっていたのかもしれません。

研究の詳細は、2023年6月20日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。

These long-necked reptiles were decapitated by their predators, fossil evidence confirms https://phys.org/news/2023-06-long-necked-reptiles-decapitated-predators-fossil.html In the Age of Dinosaurs, long-necked marine reptiles were decapitated by their predators https://www.naturkundemuseum-bw.de/en/press/detailansicht/im-zeitalter-der-saurier-wurden-langhalsige-meeresreptilien-von-ihren-fressfeinden-enthauptet
Decapitation in the long-necked Triassic marine reptile Tanystropheus https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(23)00475-X#%20

「首が弱点だった説」は200年前から唱えられていた

タニストロフェウスは三畳紀(約2億5190万〜2億130万年前)の中期に出現し、1000万年ほど繁栄した海洋爬虫類です。

最初の化石は1855年にポーランドで発掘され、その後ヨーロッパを中心に多数の化石が見つかっています。

極端に長い首は胴体の3倍近くあり、10〜13個の椎骨からなっていました。

しかし柔軟性に乏しく、左右に振ることはできても、ヘビのようにクネクネした柔らかさはなかったようです。

陸にも上がれましたが、近年の研究では「首が長すぎて陸上生活には不向きであり、ほとんどの時間を水中で過ごした」と考えられています。

タニストロフェウスの復元イメージ
タニストロフェウスの復元イメージ / Credit: en.wikipedia

この首の長さは確かに獲物の狩りに役立った一方で、古生物学者らは200年も前から「弱点にもなっていただろう」と考えてきました。

例えば、イギリスの地質学者であるヘンリー・デ・ラ・ビーチによる1830年の有名な絵の中には、捕食者に首を噛まれる海洋爬虫類の姿が描かれています。

中央右に「首を噛まれる爬虫類」の姿(画ヘンリー・デ・ラ・ビーチ、1830年)
中央右に「首を噛まれる爬虫類」の姿(画ヘンリー・デ・ラ・ビーチ、1830年) / Credit: en.wikipedia

これほど前から「首が弱点だった説」は唱えられていましたが、今日に至るまで、この仮説を証明する化石は見つかっていませんでした。

しかし今回、研究主任のステファン・シュピークマン(Stephan Spiekman)氏は、スイス・チューリッヒ大学に保管されている標本から、ついにその化石証拠を発見したのです。

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