シベリア凍土で見つかった線虫が4万6000年の眠りから復活!
シベリア凍土で見つかった線虫が4万6000年の眠りから復活! / Credit: Anastasia Shatilovich et al., PLoS Genetics(2023)
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シベリア凍土で見つかった4万6千年前の新種線虫が復活!休眠復活の最長記録更新

2023.07.30 Sunday

古代の生命体が4万6000年の長い眠りから復活しました。

独マックス・プランク研究所(MPI)を中心とする国際研究チームは、シベリアの永久凍土で見つかった線虫を凍結状態から解凍したところ、再び息を吹き返して動き出したと発表。

クマムシやワムシのように休眠できる生物は他にもいますが、休眠から4万6000年後の復活は史上最長記録になるといいます。

またDNA解析の結果、蘇った線虫は科学的に未記載の新種であることも判明しました。

研究の詳細は、2023年7月27日付で科学雑誌『PLoS Genetics』に掲載されています。

Nematode from the ice age https://www.mpg.de/20673509/0726-mozg-genome-analysis-of-46-000-year-old-roundworm-from-siberian-permafrost-reveals-novel-species-151300-x Ancient Worm Resurrected After 46,000 Years of Death-Defying Limbo https://www.sciencealert.com/ancient-worm-resurrected-after-46000-years-of-death-defying-limbo Nematode resurrected from Siberian permafrost lay dormant for 46,000 years https://www.livescience.com/planet-earth/arctic/nematode-resurrected-from-siberian-permafrost-laid-dormant-for-46000-years
A novel nematode species from the Siberian permafrost shares adaptive mechanisms for cryptobiotic survival with C. elegans dauer larva https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1010798

生命活動を一時停止できる「クリプトビオシス」とは?

今回、線虫に見られた休眠は「クリプトビオシス(cryptobiosis:乾眠)」と呼ばれる代謝活動の停止現象です。

現在のところ、クリプトビオシスができる生物は線虫の他にクマムシやワムシなど、わずかしか知られていません。

彼らは水資源がないといった過酷な環境に直面すると、全身の水分を抜いて乾燥状態に入り、生命活動を全面的に一時停止させます。

こうなると例えばクマムシでは、100度の高温からほぼ絶対零度の極低温、空気のない宇宙空間や大量の放射線、あるいは銃弾の中に詰め込んでの射出にも耐えられるのです。

最強生物クマムシの驚異の能力リストに「銃で発射されても死なない」が追加

全身が脱水してしまうと普通の生物なら即お陀仏ですが、彼らは水を加えるだけで元気な状態に戻ることができます。

現生する生物を使った科学的実験による休眠〜復活の最長記録は、クマムシで30年、線虫で39年となっていました。

一方で、今回のように永久凍土から見つかった生物の解凍では、より長い記録が残されています。

これまでの最高記録では、2018年に同じくシベリアで見つかった線虫(Plectus属)が約4万2000年間の休眠から復活していました。

しかし今回の発見はそれをさらに数千年ほど上回る結果となっています。

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