口の状態が良いとメンタルを健康に保てる!歯磨きには「肺炎予防」の効果も
口の状態が良いとメンタルを健康に保てる!歯磨きには「肺炎予防」の効果も / Credit: canva
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歯磨きには「肺炎予防」の効果がある?さらに口内の状態はメンタルにも影響 (2/2)

2023.12.29 Friday

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歯磨きをしっかり行うと「肺炎」が予防できる?

東京医科歯科大学は今年7月、家庭で行う日常的なセルフケアである「歯みがき」の肺炎予防効果を明らかにしました(The Journals of Gerontology Series A, 2023)。

肺炎とは、肺の中に細菌やウイルスが感染することで発症する病気であり、特に体力や免疫力が低下している高齢者で発症リスクが高いことが知られています。

また肺炎は年齢が上がるごとに死亡リスクも高まり、肺炎による死亡者の97.9%が65歳以上です。

そこで高齢者には、肺炎を予防するための「肺炎球菌ワクチン」の接種が強く推奨されています。

一方、肺炎球菌ワクチンの接種によって肺炎への免疫力が変わるため、チームの研究では、ワクチン接種の有無も踏まえた上で、高齢者における歯磨きの肺炎予防効果を調べました。

調査では、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者1万7217人(平均年齢73歳,男性46%、女性54%)を対象に、日常的な歯磨きの回数と、過去1年間の肺炎経験との関係を分析しています。

対象者のうち、過去5年以内に肺炎球菌のワクチン接種を受けた人は43.4%、受けていない人は56.5%でした。

データ分析の結果、全体としては対象者の4.5%が過去1年間に肺炎を経験し、ワクチン接種群で4.6%、非接種群で4.5%とほぼ同等でした。

しかし1日の歯磨き回数を比べてみると、ワクチン接種群と非接種群とで興味深い違いが見られています。

「歯磨きの回数」と「肺炎経験率」の関連性をワクチン接種の有無で比較
「歯磨きの回数」と「肺炎経験率」の関連性をワクチン接種の有無で比較 / Credit: 東京医科歯科大学 – 「歯みがきが一部の高齢者の肺炎の発症を減少させる可能性」(2023)

ワクチン接種群の肺炎経験率は、1日1回以下の歯磨きだと4.5%、1日2回だと4.7%、1日3回以上だと4.4%と有意な差は見られていません。

ところがワクチン非接種群の肺炎経験率は、1日1回以下の歯磨きだと5.3%、1日2回だと4.5%、1日3回以上だと3.5%と、明らかな有意差が見られたのです(上図を参照)。

つまり、これはワクチン接種済みだと歯磨きの効果はあまり見られないものの、ワクチン未接種の場合だと、1日の歯磨き回数が多いほど、肺炎の予防率も高まることを意味します。

高齢者においてはワクチンを接種していなくても、歯磨きの習慣によって肺炎の発症リスクを十分に下げられる可能性があるのです。

今回紹介した2つの研究はいずれも高齢者を対象としていますが、口内の健康維持は若い時期からの口腔ケアが重要な鍵を握っています。

健康な心と体を維持したまま長生きするためにも、今のうちから口のケアをしておくといいかもしれません。

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