患者に「ギター演奏」をさせながら脳腫瘍の切除手術を決行!その意図とは?
患者に「ギター演奏」をさせながら脳腫瘍の切除手術を決行!その意図とは? / Credit: Sylvester Comprehensive Cancer Center(youtube, 2024)
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「手術中に患者がギター演奏!?」意外な方法をとる脳腫瘍切除手術の様子

2024.03.18 Monday

2024.03.17 Sunday

世にも奇妙な手術の光景が公開されました。

米フロリダ州出身のミュージシャンであるクリスチャン・ノーレン(Christian Nolen)氏は、脳内に悪性腫瘍が見つかったことで切除手術を受けました。

多くの人はその手術の様子を思い浮かべる時、全身麻酔で昏睡状態の患者の姿を思い浮かべるでしょう。

ところがノーレン氏は、ギターを弾きながら腫瘍の切除手術を受けたのです。

今回は脳に致命的な損傷を与えないために、脳外科手術で実際に行われる意外な方法について解説していきます。

This man played the guitar as doctors removed a tumor from his brain https://www.zmescience.com/science/news-science/brain-tumor-removed-guitar/ Playing Guitar During Brain Tumor Surgery? https://news.umiamihealth.org/en/playing-guitar-during-brain-tumor-surgery/

医師「手術の間、ギターを弾き続けてほしい」

ミュージシャンのクリスチャン・ノーレン氏。頭部に外科手術の痕が
ミュージシャンのクリスチャン・ノーレン氏。頭部に外科手術の痕が / Credit: Sylvester Comprehensive Cancer Center(youtube, 2024)

米マイアミ大学 シルベスター総合がんセンター(UM Sylvester Comprehensive Cancer Center)の医学チームは、ノーレン氏の右前頭葉に「神経膠腫(しんけいこうしゅ )」を発見しました。

神経膠腫はグリオーマともいい、神経上皮細胞から発生する悪性の腫瘍のひとつです。

グリオーマが見られた右前頭葉は、身体の左半身の動きを制御する脳領域であるほか、発話や言語能力、その他の認知機能と密接に関連しています。

その悪影響は実際にノーレン氏の身に起こっていました。

ノーレン氏はインタビューで「左半身の感覚がなくなったように感じ、腰から上は腕が動かせなくて、顔の左半分も引きずられているようだった」と話しています。

ノーレン氏の脳内に見つかったグリオーマ(白い塊の部分)
ノーレン氏の脳内に見つかったグリオーマ(白い塊の部分) / Credit: Sylvester Comprehensive Cancer Center(youtube, 2024)

診断後、ノーレン氏は医師から悪性腫瘍の切除手術が必要であると告げられました。

それだけでなく、「手術をしている間にギターを何曲か弾き続けてほしい」という要求をされたのです。

驚きの提案ですが、実はこのような方法は、脳外科手術では割と一般的なのだといいます。

次ページ身体機能に必要な脳領域を傷つけていないかチェックする

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