ADHD症状は「カフェイン摂取」で改善できる!ただし注意すべき点も
ADHD症状は「カフェイン摂取」で改善できる!ただし注意すべき点も / Credit: canva
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ADHDの人は「カフェイン摂取」で集中しやすくなる! (2/2)

2024.06.11 Tuesday

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カフェイン摂取でADHD症状は改善するが、注意すべき点も!

カフェインの中枢神経を刺激して覚醒を促す化合物です。その仕組みは以下の通り。

体内に摂取されたカフェインはまず、「アデノシン」という化合物の受容体を阻害します。

アデノシンとは、神経活動を穏やかにする作用を持ち、眠気やリラックス作用を促す物質です。

カフェインはこのアデノシン受容体をブロックすることで、神経活動の抑制作用を低下させ、意識や気分が緩んでしまうのを防ぎます。

それと同時に、カフェインは興奮性の神経伝達物質であるドーパミンの分泌を促し、神経活動を活発化させます。

こうした働きにより、脳の覚醒作用、集中力の向上、気分の改善などの効果が引き起こされるのです。

ドーパミン分泌を促して、ADHD症状を改善する
ドーパミン分泌を促して、ADHD症状を改善する / Credit: canva

つまり、カフェインの摂取はADHDによく見られる「不安定な集中力」や「注意散漫」を改善するのに最適と考えられるのです。

ADHDに対するカフェイン摂取の有効性を実証した研究はまだ少ないですが、5〜15歳の104名を対象とした2023年の研究では、プラセボ群に比べてカフェインを摂取した群で、不注意や多動性の有意な減少が確認されました(brain sciences, 2023)。

同じ効果は大人でも見られると考えられており、カフェインを豊富に含むコーヒーや緑茶、エナジードリンクの定期的な摂取がADHD症状の改善に役立つと期待できます。

カフェインの摂りすぎには注意!

このように、カフェインは手軽にADHD症状を抑えるのに有効な手段となり得ますが、一方で注意すべき点もあります。

というのもカフェインは中枢神経を活発化させる刺激物であるため、摂りすぎると今度は逆に健康への悪影響が出始めてしまうのです。

例えば、中枢神経の過剰な活発化により、眩暈(めまい)や興奮、心拍数の増加、体の震え、血圧の上昇などが引き起こされます。

さらにカフェインの慢性的な過剰摂取が続くと、吐き気や疲労感、ストレスレベルの増加、不安症や不眠症の発症にもつながりかねません。

それに加えて、カフェインには中毒性があるため、頻繁な摂取を繰り返していると、カフェインの摂取がやめられなくなります。

そして人体はカフェインへの耐性を持つようになるので、以前と同じ摂取量では効き目がなくなり、カフェインを摂る量がどんどん増えてしまいます。

そうなるとカフェインによる健康へのデメリットの方が大きくなり、ADHD症状の改善効果は獲得しづらくなるのです。

カフェインに頼らない「セルフマネジメント」も有効

そこでやはり、ADHD症状とうまく付き合っていくには、カフェインだけに頼らない「セルフマネジメント」も大切になってくるでしょう。

例えば、集中力が長続きしにくいのであれば、「タスクを細かく分割する方法」が有効です。

一つの大きなタスクを一気に片付けようとすると、途中で集中力が切れてしまいますが、大きなタスクをいくつかの小さなタスクに分割すれば、作業へのハードルも低くなり、集中力も高いままコントロールできます。

また作業中に注意散漫になりやすいなら、周りから「気が散るものをなくす」ことも有効です。

ADHD傾向にある人はスマホやゲーム、漫画などに気を惹かれやすいので、作業に入る前にスマホをミュートにしたり、ゲームや漫画を視界に入らない場所に片付けるといいでしょう。

セルフマネジメントも有効
セルフマネジメントも有効 / Credit: canva

それから、作業への気分や意欲を高めたいなら「ご褒美の設定」も効果的です。

例えば、あるタスクを片付けたら「10分間ゲームしてよし」とか「デザートを食べてよし」などと自分にご褒美をあげるのです。

タスクの先にご褒美が待っているとわかっていると、作業へのモチベーションも上がり、集中力も高いまま維持できます。

こうした方法にはカフェインのような過剰摂取による副作用がありません。

ADHD症状のせいで仕事や私生活に支障が出ているという方は、適度なカフェイン摂取にセルフマネジメントを組み合わせてみるといいかもしれません。

なぜADHDの症例数が世界的に急増しているのか?

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ADHDの人は「カフェイン摂取」で集中しやすくなる! (2/2)のコメント

rrrr

私もコーヒーは大好きでよく飲んでいます。
ADHDに対してカフェインが優位な効果をもたらすと結論づけた研究が数多くある一方、この記事で引用された論文は
・研究対象が子供のみ
・子供に対する実験では、プラセボ群に対して優位な結果が得られなかった
つまり効果がなかったと結論づけているので、別の論文を引用した方が適切かと思います。

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