ウイルスは常に進化するため「絶対」はない
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哺乳類から手を引いた西部馬脳炎ウイルス(WEEV)は、もう安全なのか?
残念ながらそう簡単なわけではないようです。
今回の研究は、ウイルスの感染システムが常に揺れ動いており、大流行を起こせた宿主でさえも容易に見切りをつけれるほど、柔軟であることを示しています。
実際、西部馬脳炎ウイルス(WEEV)は今でも鳥類や蚊の体内にも存在し続けていると考えられます。
このことは、消えたと思っていた危険なウイルスたちが、実は宿主を変えて「潜伏」しているに過ぎないことを示しています。
ウイルスの早い進化速度を考えると、再び哺乳類での流行を引き起こすのは時間の問題と言えます。
一方、現在の標準的なウイルス学では、研究者たちは限られた宿主を対象にした限られたウイルス株しか調べません。
実際、今回の研究が行われている直前に、南米地域で西部馬脳炎ウイルス(WEEV)の新たな流行が発生したことが確認されました。
研究者たちによると、南米のウイルス集団は北米とは遺伝的に異なるとのこと。
人間に例えるなら、北米の西部馬脳炎ウイルス(WEEV)は辞表を出してしばらくおとなしくしていたものの、別人である南米のウイルスが突然入社して、感染を広げている状態と言えるでしょう。
新たに入社した南米ウイルスが、どのような経緯で強い感染力を手に入れたかを突き止められなければ、同じようなパンデミックを止めることはできません。
論文著者のアブラハム氏は「今回の結果は人類に対する警鐘です。起こり得る将来のパンデミックに備えるには、ウイルスの多様性を可能な限り追跡する必要があります」と述べています。