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ついに火星で「微生物の化石記録」!最初の説得力ある発見とNASAが報告 (2/2)

2024.08.02 Friday

前ページ孤独に「生命の痕跡」を探し続ける火星探査車

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火星には微生物が生きていたのか?

パーサヴィアランスが探査した「チェヤバ・フォールズ」の岩石には、白色をした硫酸カルシウムの鉱脈が走っています。

研究者によると、これは「火星にかつて水が流れていたことを示す証拠だ」といいます。

その一方で、白い鉱脈の間には赤茶色の岩石が広がっており、そこには不規則な形をしたオフホワイトの斑点がいくつも点在していました。

さらにそれらの斑点はヒョウの模様のように周りが黒い物質で縁取られていたといいます(下図を参照)。

白い鉱脈の間に赤茶色の岩石がある、その上にはヒョウ柄のような斑点が見られる
白い鉱脈の間に赤茶色の岩石がある、その上にはヒョウ柄のような斑点が見られる / Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS

チームはこれらの斑点をパーサヴィアランスに搭載されている「X線岩石化学用惑星計器(PIXL)」にかけて、どんな化学物質を含んでいるかを調査。

その結果、鉄とリン酸塩の他に炭素ベースの分子といった有機化合物が含まれていたことがわかったのです。

パーサヴィアランスの科学調査に参加している豪クイーンズランド工科大学(QUT)のデヴィッド・フラナリー(David Flannery)氏は「これらの発見にはとても驚かされました」と話します。

というのも「地球上の岩石だと、これと同じ化学物質の特徴は地表面下に生息していた微生物の痕跡とみなすことができるからだ」と説明します。

つまり、火星にまだ水が溢れていた数十億年前には、何らかの微生物が水中や湿った土壌の中に存在していた可能性があるのです。

火星に生命体はいたのか?
火星に生命体はいたのか? / Credit: canva

しかし一方で、有機化合物は微生物の活動だけでなく、生物の力を借りない化学的プロセスでも作られることがあると研究者は指摘します。

そのため、現段階での証拠だけを見て「火星に生命がいた!」と断言することはできません。

それにはパーサヴィアランスが採取した岩石サンプルを地球に持ち帰り、直接精査する必要があるといいます。

今のところ、パーサヴィアランスが集めた試料を地球に持ち帰る計画は、NASAと欧州宇宙機関(ESA)の協力のもと、2030年代に実施される予定です。

それまではまたパーサヴィアランスの孤独な探索が続けられるでしょう。

火星がかつて水の惑星であったことを考えれば、火星になんらかの生命の痕跡があっても不思議はありません。もしこの試料が地球に持ち帰られ、確かに生命の痕跡であったと認められれば、この発見が人類史上初の地球外生命との出会いになります。

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