精子をブロックする「4つ」の層
実験は、オスのラットを用いておこなわれました。ラットの精管には、続けざまに「4つ」の物質が注入され、層をなしました。1つ目は、精子の物理的なバリアとなるヒドロゲル、2つ目は、近赤外線で照射されたときに熱を発する金のナノ粒子、3つ目は、ヒドロゲルを分解し、精子を殺す効果もあるエチレンジアミン四酢酸、最後の4つ目は、2つ目と同じ金のナノ粒子です。
それら「4つの層」を精管に注入されたラットは、2ヶ月以上にもわたってメスを妊娠させることがありませんでした。そして、研究者らがラットに数分間、近赤外線を照射したところ、それらの層はミックスして1つに溶け合いました。その結果、オスはそれ以降子孫を残すことが可能になったのです。
研究者らは、物質の安全性を確保するためにさらなる研究の必要性があるものの、このアプローチには将来性があると語ります。つまり、ひょっとすると近いうちに、男性がコンドームを用いることなく、パイプカットもせずに確実な「避妊」ができる日がやってくるかもしれないということです。