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ウィルスの新たな恐怖! 細胞間で謎のテレパシー? (2/2)

2021.10.07 Thursday

2019.05.24 Friday

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ウィルスたちのスタンド・アローン・コンプレックス

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どう考えても、分割タイプのウィルスは正常に遺伝情報を揃えて大増殖できそうにない。不思議な問題の多くは前提条件がどこか間違っている可能性がある。

この場合、問題を不可思議にしているのは「3つ以上に分割された断片は1つの細胞に揃わない」と、「分割された遺伝情報が全て揃わなければウィルスは増殖できない」という2つの前提が矛盾しているからだ。

これはどちらかの前提に誤りがある可能性が高い。

そこで、今回の研究者たちは、FBNSVが細胞内に本当に必要な遺伝情報の断片を揃えているかどうかを調べたのだ。

するとどうだろう。なんとFBNSVは遺伝情報がすべて揃っていないにもかかわらず、細胞内で自らの複製を生産していたのだ。それは複製を作るという遺伝情報自体が欠損しているにもかかわらずだ。

これまでウィルスは1つの細胞内で独立して、自らの複製生産をせこせこ行っていると考えられていた。

しかし、どうやらこの考え方は間違っていたらしい。

ウィルスは何らかの方法で、隣接した感染細胞と情報のやり取りを行っており、欠損した遺伝情報を補い合いながら、宿主の細胞をグループ単位で支配して、自らの生産工場を形成していたのだ。

ウィルスは孤立した個別の粒子の集合でしか無いように思われた。しかし、どうやらその孤立した粒子の集団全体で1つの遺伝子群を形成しているようなのだ。まさにスタンド・アローン・コンプレックスだ。

すべての断片を揃えずにウィルスが機能できるとなると、遺伝情報を断片化してパッケージすることにも納得がいく。

しかし、では彼らは一体どういう方法で、欠損した遺伝情報を異なる細胞間でやりとりしているだろうか?

細胞内ならば、遺伝情報を運ぶメッセンジャーRNAも存在するが、彼らが細胞膜を突き破って別の細胞へ遺伝情報を伝えるという話しは聞いたことがない。ウィルスたちにはバラバラの遺伝子として行動しながら、群体で1つの遺伝子として振る舞うような、なんらかの謎のネットワークが存在するのだろうか?

それについては今回の論文の範囲を超えるものとして残念ながら言及されてはいない。

まだまだ、不思議な謎がこの世には残されている。それはそれで、悪いことではないかもしれない。

それにしてもウィルス怖い。なんなのこいつら…

reference:quantamagazine,bdj/written by KAIN

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