意識の存在は「測定」できるの? 今の科学の解答がこちら

biology 2019/07/17
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Point

■意識の存在を測定しようとする研究が、認知神経科学などの分野で現在少しずつ進められている

■意識それ自体の検出はまだ不可能だが、意識と相関を持つと思われる測定可能な事象を利用して意識を検出することは可能かもしれない

■現在検討されているのは、神経、行動、創造を意識と相関を持つカテゴリーとして、意識の存在を評価する方法だ

脳がなくても「意識」は存在できるのか?

意識とはなんだろうか? これは今や哲学の分野だけで語られる問題ではない。

意識はどういうレベルから存在すると言い切れるようになるのか? それを定義するのは今や真面目な科学の問題だ。

人工知能の開発が進めば、彼らに意識があるかという問題が生まれる。また、脳死の問題など、意識の有無の判定は医学的にも重要課題だ。

これらを判断するためには、意識というものを定量的に測定する方法が必要になってくる。

今回の話題は、意識の有無を調べる方法のフレームワーク開発を行うカリフォルニア大学の心理学者Tam Hunt氏が自ら学術ニュースサイトである“The Conversation”にて語っているものだ。

How can you tell if another person, animal or thing is conscious? Try these 3 tests
https://theconversation.com/how-can-you-tell-if-another-person-animal-or-thing-is-conscious-try-these-3-tests-115835

意識の存在をどのようにして明らかにするのか?

意識の存在や量を測定するというのは、かなりの難問だが、現在もっとも可能性のある測定方法は、意識と相関関係が高いと思われる3つのカテゴリーを利用するものだ。

Credit:the conversation

1つ目の方法は、脳の活動を調べるというものだ。これは主に昏睡または植物状態の患者において、意識の存在を調べるために、この20年間で医学の分野において提案されてきた観察方法だ。

これはMRIを用いて、物理的に脳内で起きている活動を捉えて調べている。この方法で特に注目されているのは、背外側前頭前野と呼ばれる部分から発せられる「P300」と呼ばれる脳波だ。

Credit:一般社団法人 日本メンタルヘルス研究センター

これは感覚の種類(五感)に関わらず、300ミリ秒程度発生する脳波で、正常な意識状態にもっとも確実に相関していると考えられている。P300の反応については、あらゆる刺激に対して一貫して確認できるため、ブレイン・マシン・インターフェースの構築にも利用可能と目されている

ブレイン・マシン・インターフェースというと、アニメ・小説の人気作「ソード・アード・オンライン」の中でも登場している用語なので、こうしたSF作品を好む人なら、ピンとくる技術かもしれない。要はゲームの世界へ人の意識をダイブさせる技術に応用できそうな脳波だ。

そう考えると、意識測定においても重要な観測対象とされるのは納得できる。

また、この他にも、脳の異なる部分間での活動電位の同期などが注目されている。こうした方法により、植物状態の患者の脳波から、どの患者が正常な意識状態を回復する可能性が高いか予測することに成功した研究もある。

意識を探る2つ目の方法は、身体行動と意識の存在を関連付けて考える方法だ。

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例えば猫は人間とは脳の構造が異なっているが、脳の活動は本当に意識に重要なのだろうか?

猫は撫でられれば快感を示すし、空腹になると大声で餌を求めたりする。他にも好奇心や恐怖心を示す動作もある。

これらはどれも猫の意識を示す証拠となるだろう。現状この方法で明らかな成果を見せる研究は示されていないが、いずれ彼らの心を知る手段となる可能性は高い。

意識を探る最後の方法は、意識のアウトプットたる創作物を調べる方法だ。

Credit:pixabay

絵画や音楽、または小説において、現在は人工知能を用いて作らせるという試みがある。

実際AIアーティストが制作した絵画にオークションで40万ドル近い値がついたというニュースもある。

AIが作り出した作品を、人間がAIによるものだと見抜けなかった場合、それはAIにある種の意識があるという証明になるのではないだろうか?

こうした考え方が、創作物を介した意識の測定研究だ。この方法についても現在明確な成果はないが、将来的にはAIの意識測定に利用可能な分野となる可能性が高い。

意識の研究はまだまだ途上の科学

意識の存在を明確に示した研究というものは現在のところまだ存在していない。

しかし、上手く見つけられないからと言って、意識が脳神経の生み出す見かけ上の幻影だと結論付けるのは早計だろう。

その証拠に、身近に確かに存在していながら、未だにその正体をつかめていないものは、意識以外にも科学の分野に存在している。

例えばそれは重力だ。重力は我々が常に身近に感じている確かな力だが、実はこれがなんであるのか物理学はまだ明らかにできていない。

重力って空間の歪みなんじゃないの? と思う人もいるかもしれない。

よく聞く重力の説明では、空間を一枚のゴム膜に例え、重いボーリング玉を置いた場合に生まれる膜の歪みを重力の正体であると語っている。

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確かにわかりやすいが、この説明では2次元上の重力を説明するために3次元上で働く重力の存在を必要としてしまっている。

アインシュタインは重力が空間の歪みにより生まれることを示したが、なんで質量が大きいと空間が歪むのか、という疑問については答えを与えてくれていない。

このために重力はもっと高次元で発生している力が、3次元の空間へ伝わって生まれているとする説も提案されている。

意識を何らかの量子現象と捉えるならば、これが観測の不可能な次元から発生する現象と捉えることも可能だろう。

一見荒唐無稽に思える解釈の中に、ひょっとしたら意識を見つけ出すヒントが隠れているのかもしれない。

もし、意識の存在を明らかにし、正しく測定する方法が確立されれば、意識を仮想空間へ繋ぐようなブレイン・マシン・インターフェースも実現できるようになるだろう。

早くそんな未来が来てほしいものだ。…いや、ほんと頼むよ。

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ソニー・インタラクティブエンタテインメント (2018-05-25)
reference:the conversation/ written by KAIN

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