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人類はいつのまにか海の生態系を操作していた。「鉄肥沃化」の真相 (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2019.07.22 Monday

前ページ人間の活動が生んだ鉄粒子が予想以上に海に流出!?

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謎に包まれたままの鉄肥沃化の真の影響

アジア大陸や南半球で起きている産業化の影響で大気汚染が進行すれば、鉄の流入がもたらす影響は今後ますます顕著になるといいます。

まずは、現場での観察を通じて、北大西洋以外の海域でも人間由来の鉄の比率が高いことを実際に立証することが先決です。その後は観察を継続的に行い、これらの海域に植物プランクトンの増殖を含む生態学的変化が起きているかどうかをつぶさに見ていく必要があります。

しかし、こうした変化が鉄肥沃化の進行によって起きているのか、または気候変動による海洋温暖化などの他の要因によってもたらされているのかを判断することは、なかなかに難しいことです。

Credit: pixabay

実際、海底に蓄積されている炭素の量と、その効果の程度は定かになっていません。たとえば、南氷洋の鉄肥沃化によって吸収される温室効果ガスの量は年間約1ギガトンであるのに対し、この領域で毎年排出される温室効果ガスの量は11ギガトン。つまり、排出量の1割程度しか吸収されておらず、温暖化の根本的な解決は望めないのです。

それに加えて、鉄肥沃化が海洋生態系へもたらす真の影響が明らかになっていないとすれば、人工的に鉄肥沃化を進める計画には慎重にならざるを得ません。

研究チームは現在、海中のプランクトンの生産性のモデルシミュレーションを改善し、海洋化学に生じる変化が海洋システムへどう影響するかを調べる計画を立てています。

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reference: scientificamerican / written by まりえってぃ

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