古代ボードゲームの失われたルールを復元する研究所

culture 2019/09/08
Credit:depositphotos

Point

■オランダに古代ボードゲームの失われたルール解明を専門とする研究所が存在する

■歴史的な情報よりも、コンピューター技術を使ったデジタルな方法でのルール復元を行なっている

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何千年にわたり親しまれてきたボードゲーム。そのルールから、意外な文化が見えてくることがあります。

オランダ・マーストリヒト大学に、古代ボードゲームの失われたルールを取り戻す研究所があることを知っていますか?

「デジタル・ルデーム・プロジェクト(Digital Ludeme Project)」研究所は、歴史的資料よりも、コンピューター技術を積極的に用いてルールを再構築する「デジタル考古学」というアプローチを採用しています。

世界には発見されてもルールが分からないボードゲームがいくつも存在しています。研究所は一体どのような方法でルールの再発見を進めているのでしょうか。

ルール不明な古代のボードゲームたち

人類は数千年も前からゲームをプレイしてきました。

現在知られている中で最古のゲームは、紀元前3500〜3100年頃にエジプト人が始めた「セネト」と呼ばれるボードゲームです。しかしルールに関しては、2人のプレイヤーによるレースゲームという以外、詳細なルールは分かっていません。

王家の墓から出土したセネト/Credit:ja.wikipedia

セネトをプレイするネフェルタリの姿が描かれた壁画は発見されているものの、厳密なルールが記録された文書などは残っていないようです。

4人でプレイされるパトリ/Credit:ja.wikipedia

他にも紀元後300年頃にメソアメリカで始まったとされる「パトリ」というボードゲームもあります。パトリという平らな黒豆をサイコロとして使うすごろくのようなゲームですが、こちらもルールについてはどこからどのようにスタートするのかということすら分かっていません。

コンピューター分析によるルールの再構築

研究チームはルール解明のために、古代ゲームをモデル化し、そこからルールセット(複数のルールのまとまり)を生成して評価するシステムを作りました。このシステムは「Ludii」と呼ばれ、遺伝学やAI研究にも用いられている計算技術を備えています。

プロセスの第一段階では、モデル化されたゲームを構成要素に分解し、それらを「ルデーム(ludemes)」という単位としてデータベース内で体系化します。いったんゲームをルデームに基づいて記述すると、機械がパターンを理解して分析できるようなコンピュータプログラムとなります。

このとき、ゲームが行われていた場所や時代に関する文化的背景も記録され、新しく生成されたルールセットの妥当性を評価する有益な情報として使用されます。

Credit:pixabay

その後チームは、データベース内の情報を使って、プレイの妥当性や可能性を様々に変化させた複数のルールを再構築します。

それが終わったら、AIが新たに生成されたルールを順番に試していき、駒の動き等のリストを作成。その情報をもとに研究チームが最も有効にプレイできるルールを判断するというわけです。

実際こうしたアプローチは、すでにある程度の成功を納めています。2006年、考古学者がスロヴァキアの遺跡で発見された古代ローマのボードゲームについて、研究チームはプレイ可能なルールを特定したそうです。

一つのゲームでも地域や時代によってルールが変わることがありますが、そこから人々の暮らしが見えてくるものです。今後もデジタル考古学というアプローチで、古代のゲームが現代に復活することに期待しましょう。

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reference: vice / written by くらのすけ

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