あくびの長さは「脳のサイズ」で変わる

biology 2019/10/05
Credit: Don Bartletti/Los Angeles Times

Point

■哺乳動物のあくびの長さが、脳のサイズと、大脳皮質のニューロンの数に比例することが判明

■あごを大きく開いて深く息を吸い込むと、血流の増加によりブドウ糖や酸素が脳へ運ばれ、脳の働きが改善する

■霊長類やゾウなどの一部の非霊長類は、他の動物よりニューロンの数が多いため、長いあくびを必要とする

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あなたの周囲に、よく大きなあくびをする人はいますか?

その人は、もしかしたらやる気がないわけではなくて、単に大きな脳を持っているだけかもしれません。

最近の研究で、哺乳動物のあくびの長さが、脳のサイズと、大脳皮質のニューロンの数に比例することが明らかになりました。ニューヨーク州立大学で「あくび学」を研究するアンドリュー・ギャラップ氏による論文が、「The Royal Society」の雑誌に記載されています。

Yawn duration predicts brain weight and cortical neuron number in mammals
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2016.0545

あくびの長さとニューロンの数は比例する

多くの脊椎動物が持つあくびの習慣ですが、実際その仕組みはほとんど解明されていません。

あくびは一般的に、眠気や退屈のサインとして捉えられていますが、身体の中で重要な生理学的役割を担っています。筋肉の疲れにはストレッチが効くように、脳の疲れにはあくびが効果的なのです。

ストレッチをすると、身体の特定の部位えの血流が増加します。同じように、あごを大きく開いて深く息を吸い込むと、頭部に血液が巡り、ブドウ糖や酸素が脳へ運ばれます。また、あくびにはヒートアップした脳を冷却する効果もあります。

このことから、ギャラップ氏らは「大きな脳を持つ動物ほど長いあくびを必要とする」という仮説を立て、その真相を確かめるため、YouTubeに投稿された動物のあくびの動画200本を分析することにしました。

犬、猫、ハリネズミ、オポッサム、キツネ、リス、ヒトなどの霊長類を含む24種の動物のあくびの長さを計測し、それらを各動物の平均的な脳の重さと皮質ニューロンの数と照らし合わせたところ、長いあくびをする動物ほど、脳が重い傾向にあることが明らかになりました。

縦軸: あくびの長さの平均、横軸左: 非霊長類、横軸右: 霊長類 / Credit: Andrew C. Gallup , Allyson M. Church and Anthony J. Pelegrino/The Royal Society Publishing

また、あくびの長さと、皮質ニューロンの数で判断される脳の複雑性の間には、さらに顕著な相関が見られました。

ヒトと他の動物の認知能力の差は「ニューロンの数」が原因

もっとも長いあくびをする傾向を持っていたのは、もちろん霊長類です。ヒトや類人猿、そしてゾウを含む一部の非霊長類は、他の動物よりニューロンの数が多く、脳のサイズも比較的大きい傾向があります。このことが、より高い認知機能に結びついているようです。

「認知能力という点において、私たちヒトを他の動物から隔てているものの正体は、単なる脳の大きさというよりは、ニューロンの数です」と、ギャラップ氏は説明しています。

「あくび学」の分野に新しい疑問を次々ともたらす今回の新発見。ギャラップ氏はすでに、ヒトの被験者を対象にしたあくびの長さと、認知能力および脳のサイズとの相関についての調査を進めているところです。もしかしたら、「ニューロンを多く持っている人ほど、長いあくびをする」という結果が導き出されるかもしれません。

Credit: depositphotos

そうすれば、隣の席であくびをしている同僚が、眠気覚ましのコーヒーを必要としているのか、それとも単に脳のストレッチをしているだけなのかを言い当てることができるようになるかもしれません。

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reference: latimes / written by まりえってぃ

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