宇宙で最初に誕生した「色」は何なの?

space 2019/10/30
Credit:pixabay

Point

■ビッグバン直後の宇宙は、高温・高密度のプラズマによって、光が閉じ込められ、色はなかった

■その後、宇宙の膨張に伴い、温度が冷えて、「宇宙の晴れ上がり」と同時に光が解放され、色が生まれた

青白くきらめく星から深紅に輝くガス天体など、宇宙は多彩な色の光に包まれています。人の目に見える可視光以外にも、X線やガンマ線、電波バーストといった光も存在します。

では、宇宙の中で一番最初に誕生した「色」とは何だったのでしょうか。宇宙に始まりがある以上、色の誕生にも順番があるはずです。

それを知るには、宇宙誕生の物語を順に追っていくのが一番効果的でしょう。

しかし、その色の正体は、意外にも身近なものと同じ色だったのです。

宇宙誕生時に「色」はなかった

宇宙はビッグバンによって誕生しました。今から約138億年前のことです。

ビッグバンは、真っ暗闇の中に突如として出現したまばゆい発光体としてよく描かれますが、実はこの時点で色は存在していません。誕生直後の宇宙は、光が存在できないほど高温でした。

光の微粒子である光子が誕生したのは、ビッグバンから約10秒後だと考えられています。ここから宇宙は「光子の時代(10秒後〜38万年後)」へと突入します。

Credit:NASA

その後、宇宙が膨張し温度が下がるにつれ、陽子と中性子が現れます。今度は、それらが冷えて水素とヘリウムを作り出します。

こうして宇宙は、電子や光子、原子核のプラズマで満たされるのでした。当時の宇宙の温度は、およそ10億ケルビンを越えていたとされます。

しかし問題は、すでに光があったにも関わらず、色はまだ存在していなかったことです。

宇宙の晴れ上がり、「色」の誕生へ

光子時代の宇宙は、まだ温度が非常に高く、光が濃くて分厚いプラズマを突き抜けることができませんでした。

しかし、宇宙誕生から38万年後、宇宙空間が十分に冷えたことで、分厚いプラズマの雲は、距離にして8400万光年にもおよぶ水素とヘリウムの透明なガスとなります。

宇宙マイクロ波背景放射/Credit:ESA/Planck Collaboration

これが現在、「宇宙マイクロ波背景放射」と呼ばれるものであり、「宇宙の晴れ上がり」とも言われます。ここでついに、分厚いプラズマの中に閉じ込められていた光子が、時空間へと解き放たれるのです。

こうして宇宙は、人の目に見える観測可能なものとなりました。つまり、「色」が生まれたのです。

最初の色は「60ワットの電球」?

宇宙が晴れ上がり、解放された光の温度は3000ケルビン(摂氏2726度)だったことが分かっています。実は、この温度こそ、光の色を決める答えなのです。

光には、波長分布を示す「黒体」を持っています。

黒体とは、外からやってくる電磁波のあらゆる波長を吸収する物体のことで、今後はこの黒体を加熱すると、その温度に応じて特定の電磁波を外に放ちます(黒体放射)。

温度変化に伴う黒体の色/Credit:Dariusz Kowalczyk

黒体放射の色は、温度の上昇にしたがって「赤→オレンジ→黄色→白→青白」というように変化します。

そして、宇宙空間に解き放たれた光の温度は3000ケルビンなので、この世で最初に誕生した「色」はこうなります。

最初に誕生した「色」の正確なイメージ/Credit:Planck/IPAC

3000ケルビンの黒体は、おおよそオレンジと白の混ざったような色に相当します。身近なものでは「60ワットの豆電球」に一番近いでしょう。

ですから、宇宙最初の色を見たいときは、60ワットの電球を見ると良いでしょう。ただし、人の目は光の当たり具合や角度で色が違って見えるので、上の画像のような正確なカラー・イメージはつかめません。

今の宇宙は「ラテ色」?

その後、宇宙はさらに温度を下げていき、オレンジから黒色へと変化していきました。そして、星や銀河が増えていくにつれ、宇宙の色も多彩になってきたのです。

2002年に、天文学者が現在の宇宙の色を決めるため、今日の星や銀河から見えるすべての光の平均色を割り出しました。その結果がこちらです。

Credit:Brian Koberlein

実は、現在の宇宙の平均的な色はクリームを入れたコーヒーの色に近く、専門家からは「宇宙ラテ(cosmic latte)」と呼ばれています。

しかし、宇宙ラテ色もいずれは変化して、別の色へと変わっていきます。今後の宇宙は、何色に染まっていくのでしょうか。

宇宙には予想外の「匂い」が漂っている

reference: sciencealert / written by くらのすけ

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