クジラが巨大な理由は「エネルギー効率」の圧倒的な高さにあった

animals_plants 2020/01/02
Credit:depositphotos
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  • クジラが大きくなる理由は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーの方が多くなる採餌方法にあった
  • 特に、ヒゲクジラは、湧昇域と呼ばれるプランクトンが大量に集まるエサ場があるため、狩りの労力が少ない

地球が誇る最大の動物はクジラです。大きな個体だと、全長30m以上、体重150トン越えとなります。

その一方、クジラがここまで大きくなった理由、あるいはこれ以上大きくならない理由については、明確に答えられていませんでした。

ところが今回、新たな研究により、クジラの巨大化は、エネルギー効率の高い採餌方法に理由があることが判明しました。

その方法により、消費エネルギーを上回る多くのエネルギーを摂取することができるようです。

研究の詳細は、12月13日付けで「Science」に掲載されています。

Why whales are big but not bigger: Physiological drivers and ecological limits in the age of ocean giants
https://science.sciencemag.org/content/366/6471/1367

クジラの進化史

最初のクジラが登場したのは、およそ5000万年前のことです。当時のクジラは、4本足を持つ陸上の生物で、サイズも大型犬ほどしかなかったと言われています。それから約1000万年をかけて水中の世界へ移動し、さらに3500万年をかけて、海の巨大生物となっていきました。

そして、真に地球上の最大生物となったのは、ここ500万年のことです(クジラの進化史の動画)。

海に移動したばかりのクジラ/Credit:ocean.si.edu

完全に海に定着するにつれ、クジラは「ヒゲクジラ類」と「ハクジラ類」に大きく分かれます。

ヒゲクジラは、巨大な口を網のように広げて海水ごと飲み込み、そこからエサだけをこしとります。一方のハクジラは、その名の通り、歯を持つクジラで、エコロケーションを駆使して単体の獲物をハントします。

この2つの道に沿って進化すると同時に、海水が深層から表層に湧き上がる「海洋湧昇」というプロセスが起こりました。

「海洋湧昇」のプロセス/Credit:NOAA

湧昇は、海岸と平行に吹く強い風によって生じ、冷たく栄養豊富な海水が深層から湧き上がることで、プランクトンの大量発生を促します。

この恩恵を大きく受けたのは、ヒゲクジラの方でした。

湧昇域は、プランクトンを食料とするヒゲクジラにとって最良のエサ場となります。こうしてヒゲクジラは、労力を減らし、効率よく食事にあずかり、一気に大きくなっていったのです。

ヒゲクジラは「エネルギー効率」がズバ抜けて高い

サイズが大きくなる理論はいたってシンプルです。

消費するカロリーに対し、摂取量が上回れば自然と大きくなります。要するに、エネルギー効率が高いほど巨大化するのです。エネルギー効率とは、投入した熱量に比べて、得られた熱量の割合を指します。

エネルギー効率を調べた大規模研究では、ヒゲクジラとハクジラに属する11種類、およそ300頭のクジラを追跡調査し、5万を越える採餌活動を記録しました。

追跡タグをつけてトラッキング調査/Credit:Duke Marine Robotics & Remote Sensing 

その結果、エネルギー効率は、ハクジラよりもヒゲクジラの方が圧倒的に高いことが判明しています。

ヒゲクジラの採餌方法は、大口を開けて湧昇域を通過するのがメインです。つまり、狩りの労力が極端に少なく、エネルギーを大量に摂取できます。実際、地球上最大の生物であるシロナガスクジラは、ヒゲクジラ亜目に属します。

一方で、ヒゲクジラの巨大化は、季節ごとに消えたり現れたりする湧昇域によって制限されているようです。

ヒゲクジラ(右上)とハクジラ(右下)/Credit:Alex Boersma, CC BY-ND

対するハクジラは、イカなどをエサとするため、捜索と狩りに消費されるエネルギーがヒゲクジラより多いのです。しかも、十分な大きさのエサや安定したエサ場の欠如により、エネルギー効率は低下します。

それゆえ、ハクジラ最大のマッコウクジラ以上には大きくならないのです。

 

しかし、クジラの巨大化については、まだ多くの謎が残されています。クジラが真に巨大化し始めたのはここ500万年のこと。

専門家によれば、現在も巨大化の最中にある可能性は十分にあるようです。

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reference: sciencealert / written by くらのすけ
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