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謎の高エネルギーニュートリノの発生源が1つ特定される! (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.05.24 Sunday

前ページ高エネルギーニュートリノの検出

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意外な発生源

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ブレイザーからの放射を観測するアイスキューブ観測所。/Credit:IceCube / NASA

今回研究チームが考えたのは、高エネルギーニュートリノがクエーサーの電波フレアから発生しているのではないか、という仮設でした。

クエーサーはガンマ線から電波波長まで様々な電磁波を放出する天体です。

この中でも電波はもっともエネルギーの低い電磁波放射です。そのため高エネルギーニュートリノの発生と関連付けて考える研究者はこれまでいませんでした。

高エネルギーニュートリノの発生源を調査する研究はこれまで、数々試されてきました。そこで、研究チームは型にはまらないアイデアを試してみようと今回の仮設を立てたのです。

これは非常に成功の見込みが低い調査でした。

しかし、長年の電波望遠鏡の観測データと、高エネルギーニュートリノの観測データは非常に高い関連性を見せたのです。

結果が良すぎて逆に不安になった研究チームは、ロシアのRATAN-600電波望遠鏡の1年間の観測データに基づいて、注意深くデータの再分析を行いました。

しかし、この結果も両者の観測データの関連性が偶然一致したという確率は、わずか0.2%であるという結果になったのです。

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ロシアのRATAN-600電波望遠鏡。/Credit:Wkipedia Commons

クエーサーの中心は巨大なブラックホールで、そこでは吸い込んだ物質が作り出した降着円盤が擦れ合い、ときたま強力なジェット噴射を行います。

このとき電波のフレアも発生していて、今回の発見はこの現象と高エネルギーニュートリノを関連付けるものです。

ガンマ線の観測はそれ専用の望遠鏡を使わなければなりません。電波帯域の観測でも、高エネルギーニュートリノと関連づいた観測ができるという発見は興味深い成果でしょう。

高エネルギーニュートリノは1つの発生源を持つわけではありません。この研究は高エネルギーニュートリノの発生原因の1つを発見したに過ぎません。

また、なぜこのような結果になるかの論理的な説明はこれからの課題になるといいます。

しかし、若手研究者のかなり挑戦的な研究によって、これまで見落とされていた新しい発見が報告されるというのは、非常に面白い話です。

この研究は、ロシアのモスクワ物理工科大学の研究者Alexander Plavin氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は天文学に関する査読付き学術雑誌『The Astrophysical Journal』に5月12日付で掲載されています。

Observational Evidence for the Origin of High-energy Neutrinos in Parsec-scale Nuclei of Radio-bright Active Galaxies
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab86bd

なんで宇宙は反物質より物質のほうが多いの?9年のニュートリノ実験で検証

reference: MIPT,universetoday/ written by KAIN

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