最古の寄生虫が発見される! 寄生虫っていつから存在するの?

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腕足動物に寄生するワームの再現画像。/Credit: Zhifei Zhang (Northwest University) and the Xian Lawrence animation company,NPG Press
point
  • これまででもっとも古い寄生虫の化石が発見された
  • 年代はおよそ5億1500万年前でカンブリア大爆発の時期
  • 腕足動物の殻に寄生したワームで、宿主の餌を横取りしていた

寄生虫は現代ではありふれた存在ですが、この不思議な嫌生物は一体いつから存在しているのでしょうか?

古生物学の研究では、寄生という関係性を見出すことが困難なために、この寄生虫の発見や進化の様子は、思ったよりも進んでいません。

1500万年前の琥珀からマダニが見つかったり、羽毛恐竜の化石からシラミの痕跡が見つかるなど、現代にも生息している寄生虫が発見されることはありますが、古代にだけ存在した寄生虫は発見がかなり難しいのです。

そんな中、今回ははっきりと寄生虫と断定できる化石が発見されました。それはなんと5億年以上前のものです

これは今まで発見された中でも最古の寄生虫です。一体、5億年前にはどんな寄生虫がいたのでしょうか。

やっかいな寄生虫の特定

寄生とは一般的に、ある生物が宿主となる別の生物を利用することで「栄養などを収奪して生命を維持する継続的な関係」と定義されています。

ここには共生も含まれています。共生とは寄生の一形態です。

共生と呼んだ場合、これはポジティブなパートナーシップを指していて、例えばサンゴ礁の形成にはサンゴポリプと微細藻類の関係が両方の生物に利益をもたらしています。

一方、寄生の場合は、常に利益を得るのは寄生虫側であり、宿主は害を受け続けます

Credit:いらすとや

どちらにせよ、重要なのは生物間の持続的な関係性の存在です。

しかし、生命進化を研究しようとする場合、多くの情報は化石の記録を探ることになります。

化石は生物学的な変化や進化の歴史について豊富な証拠を有していますが、残念ながら生物感の相互作用に関する証拠はなかなか保存されません。

化石から、寄生虫が宿主を利用していたという証明を行うことは、非常に難しくやっかいな作業なのです。

もっとも古い寄生虫と宿主の相互作用を探る

ところが今回の研究は、そんな困難な調査を化石記録から発見し、これまでで最古の寄生虫と宿主の関係を明らかにしました。

問題の化石が発見されたのは、中国雲南省。年代測定によると5億1500万年前のものと推定されました。

Credit: Zhifei Zhang (Northwest University))

これは腕足動物と呼ばれる種類の生物化石です。

腕足動物はアサリなどの二枚貝によく似ていますが、実際はかなり異なる海洋無脊椎動物です。

肉茎の腕を持っていて、これを足のように使って動き回ります。

現代に残る腕足動物のミドリシャミセンガイ。/Credit:en.wikipedhia

これは現代では珍しい生き物ですが、地質学的な調査によると、昔はかなり一般的な生物でした。

今回発見された化石には、この腕足動物の殻の表面にいくつもの管が引っ付いているのが確認されました。研究者たちはこれが、寄生虫だったと考えています。

なぜ寄生虫と断定できるかというと、この種の腕足動物の化石は複数見つかっており、この管がついていないものは、管がついていたものに比べてはるかに大きいことがわかったためです。

つまり、この管は腕足動物に寄生していて、明らかに宿主に悪影響を及ぼしていたのです。

この管のようなものはワームの一種だと考えられており、労働寄生タイプの寄生虫だということがわかっています。

労働寄生とは、宿主の体から直接栄養を奪うのではなく、宿主の捕食する餌を横取りするタイプをいいます。

寄生の様子を再現した画像。/Credit: Zhifei Zhang (Northwest University) and the Xian Lawrence animation company,NPG Press

進化の爆発

この生物が発見された年代は、いわゆるカンブリア爆発と呼ばれる時期と一致します。

カンブリア爆発は、約5億4000万年前のカンブリア紀に起きた、急速な生物の進化、多様化の時期を指します。

この時期に目や内蔵、手足を持つ最初の動物たちが出現しています。

Credit:depositphotos

これらは生物の相互作用についても著しい影響が与えられた時期で、例えば他の生物を積極的に捕食する生物は、この頃に誕生しています。

今回の発見の重要な点は、このカンブリア紀にもう1つの生物的な相互作用である寄生が始まっていたということです。

寄生虫が最初に誕生した時期を特定することは、寄生虫が生命に与えた影響を理解するための重要な一歩です。

例えば生物が有性生殖を行うようになったのは、寄生虫に対する対抗手段の1つであると考えられています。

生物の進化を理解しようとするとき、寄生虫がどのように関わっていたかも重要な要因になるのです。

また、寄生虫はこれまでに何度も進化を繰り返してきたことがわかっており、ほぼすべての動物群に1種以上の寄生虫(寄生生物)が存在しています。

例えば吸血コウモリは寄生生物の1種と考えられます。寄生への移行は、いつどこでも起こりうる進化戦略なのです。

過去にどのように寄生虫が発生し、彼らの生物学的な圧力がどのように生命の歴史に変革を与えたかはまだわかっていません。

これは、生物研究における現在も、進行形の課題なのです。

この研究は、ノースウエスト大学のZhifei Zhang氏を筆頭とした研究チームより発表され、オープンアクセスのオンライン学術雑誌『Nature Communications』に6月2日付で掲載されています。

An encrusting kleptoparasite-host interaction from the early Cambrian
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16332-3

寄生虫「アニサキス」が過去40年間で283倍に増加していた

reference: theconversation,natureasia/ written by KAIN
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