ピークを迎えると成長は止まる
ところが、エストロゲンの分泌量がピークに達すると、骨の成長は終わりを迎えます。そのため、女性の身体的成長は、思春期を過ぎると基本的にはストップするわけです。
ところが、男性の場合、エストロゲン分泌量のピークは女性より数年後に来るので、それまで骨は成長を続けます。また、男性におけるエストロゲンの分泌量が女性より少ないことも、骨格が大きくなりやすい要因でしょう。
それから、エストロゲンは、女性の骨盤が男性のそれより幅広になる理由の一つでもあります。(もう1つの理由は、妊娠中に胎盤で分泌される「リラキシン」というペプチドホルモンです)
これらを踏まえ、ダンズワース氏は「ダーウィンの唱える性淘汰説がまったくの無関係とは言えませんが、エストロゲンが男女間の体格差の一因であることは間違いない」と話します。
つまり男性は、生物学的にガタイが良くなるようにできており、戦いの運命は初めから避けられなかったのかもしれません。
研究の詳細は、5月2日付けで「Evolutionary Anthropology」に掲載されています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/evan.21834
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