
- 魚の卵は鳥に食べられても生きたまま糞と一緒に排出される
- 排出された卵を育てたら稚魚がうまれた
- 鳥は魚を別の湖に運ぶ箱舟だった
植物の実が鳥に食べられて、種を遠くに運ぶことはよく知られています。
しかし新たにハンガリーで行われた研究では、魚の卵もまた、鳥に食べられることで別の湖に運ばれることが示唆されました。
鳥に大量の卵を食べさせる実験を行った結果、魚の卵は鳥の消化機能を生き延び、糞として排出された後に孵化することが確認されたのです。
食べられた魚の卵が特殊だったのか、鳥の消化機能が「ガバガバ」だったのか……いったいどうしてこんなことが起きたのでしょうか?
完全に外部から孤立した湖に住んでいる魚たちの謎

淡水湖の生態系を調べている研究者にとって、孤立した湖に存在する魚の存在は長い間、謎でした。
特に標高の高い場所にあり、他の湖と川で繋がっていないカルデラ湖のような湖は、外部から魚が侵入する余地はありません。
しかしどんなに孤立した湖にも、近くの淡水系と遺伝的に近い魚が住み着いています。
これまでは、そのような「不思議な拡散」は鳥が咥えていた魚を落としたり、足や羽に付着した卵が水鳥によって空輸されるなど、イレギュラーの結果であると考えられていました。
ですがハンガリー、ドナウ研究所に勤めるÁdámLovas-Kiss氏は既存の説に納得できませんでした。
これらの説はいわゆる俗説であり、どれ一つとして科学的に証明されたものではなかったからです。
そこでÁdámLovas-Kiss氏は、植物の種の拡散を模倣した、独自の仮説を構築しました。
すなわち、魚の卵も植物の種のように、鳥に食べられることで他の湖に拡散している…とするユニークな説です。
しかし問題は、どうやってそれを証明するかでした。