長い、長すぎる…。「からだの半分が首」のモンスターに新しい名前が付けられる!

animals_plants

Credit: Emma Finley-Jacob

「タニストロフェウス (Tanystropheus)」という絶滅した太古の生物をご存知でしょうか。

ラテン語で「長い脊椎」を意味する名前の通り、全長6メートルの約半分が首という超首長モンスターです。

化石の初発見は1852年のことですが、それ以来ずっと研究者を悩ませ続けている2つの問題があります。

1つは「タニストロフェウスは陸棲なのか水棲なのか」ということ。もう1つは「発見されている大型と小型の化石標本は、同種なのか別種なのか」ということです。

この2大問題が、シカゴ・フィールド自然史博物館とスイス・チューリッヒ大学の最新研究により、ついに解決されました。

単刀直入にいうと、タニストロフェウスは主に水中暮らしであり、大型と小型は別種であったようです。

せっかく長いのに、首ガッチガチだった

タニストロフェウスが現れたのは、約2億4200万年前の三畳紀中期です。当時の世界は、大型爬虫類が水中を支配し、陸上には恐竜が出現し始めた頃でした。

タニストロフェウスの化石は、現在のスイスに当たる地域で出土しており、大型とそれによく似た小型の標本が見つかっています。

Credit: Stephan Spiekman

大型は全長が約6メートルで(その半分の3メートルが首)、小型は全長1メートルほどです。既知の脊椎動物の中では、全長に対して首の長さが占める割合が最も大きな生物とされています。

しかし、首の長さのわりに骨の数は少なく、柔軟性にも乏しかったようです。首はせいぜい左右に振れる程度で、曲げ伸ばしは出来なかったとか。

研究チームのオリビエ・リエッペル氏(フィールド自然史博物館)は「タニストロフェウスは、極端に長い首に、胴体が太ったワニのような生き物で、その奇妙な体つきは、陸上にも水中にもそぐわないように思われる」と話します。

水中暮らしと判明!

研究チームは今回、タニストロフェウスが陸棲か水棲かを調べるため、大型個体の頭蓋骨の断片をCTスキャンし、デジタル上で再構成しました。

同チームのステファン・シュピークマン氏(チューリッヒ大学)は「3Dで再構築したことで、化石では観察できない骨内部の形態学的な詳細が明らかになった」と話します。

再構築された頭蓋骨/Credit: Stephan Spiekman et al.

その結果、タニストロフェウスは水棲生物であることが判明しました。

頭蓋骨に確認された「鼻孔」は、現代のワニのようにアゴを水に沈めた状態で呼吸する最適の構造であり、水中暮らしを示す証拠となります。

おそらく、ガッチガチの首のせいで機敏には動けなかったため、水中でじっと待ち構えて、獲物を捕食したのでしょう。

産卵のために陸に上がってきた可能性もありますが、大方は水中暮らしだったようです。

大型と小型は別種だった!ニューネームも決定

加えて、小型標本が大型と同種か別種かを特定するため、骨に成長や老化の痕跡がないかを調べています。

骨の断面分析の結果、小型の骨に多くの成長痕が見つかりました。これは、小型生物が十分に成熟しており、大型の幼体ではなく、まったくの別種であることを示します。

Credit: cell

さらに、大型の歯は円錐形、小型は王冠型をしていることから、それぞれ食料となる獲物が違っていたと見られます。(大型は魚やイカを好物とし、小型はもっと小さなエビなどを食べていたと思われる)

それゆえに、同じ生息域にいながら、競合することなく共存できたのでしょう。

大型のタニストロフェウス、鼻孔があった/Credit: Emma Finley-Jacob

また、今回初めて2種のタニストロフェウスを特定できたことで、それぞれに新しい学名も付けられています。

大型は、ギリシャ神話のヒドラにちなんで「タニストロフェウス・ヒドロイデス(Tanystropheus hydroides)」、小型は、オリジナルの「タニストロフェウス・ロンゴバルディカス( Tanystropheus longobardicus)」と名付けられました。

リエッペル氏は「30年間、タニストロフェウスを研究し続けて、2つの大きな謎を解明できたことにとても満足している」と話しています。

 

研究の詳細は、8月6日付けで「Current Biology」に掲載されました。

生きた姿をほぼ完全に保つ「恐竜のミイラ」がスゴイ

reference: scitechdailylivescience / written by くらのすけ
あわせて読みたい

SHARE

TAG