
青い翅に空色のふわふわした身体が目を惹く「アリオンゴマシジミ(large blue butterfly)」は、絶滅危惧種に指定されているチョウです。
世界的にも数が減少しており、イギリスでは、約40年前の1979年に絶滅宣言が出されています。
しかしこの度、数年にわたるプロジェクトの末、イギリス国内でアリオンゴマシジミのコロニーを再繁殖させることに成功しました。
アリオンゴマシジミが国内の特定域に定着するのは、過去150年間で初めてのことです。
プロジェクトには、ナショナルトラスト、ロンドン王立昆虫学会、ナチュラル・イングランドなど複数の保護団体が参加しています。
繁殖地の下準備に5年!

イギリス国内での再繁殖は、他国からアリオンゴマシジミを持ち込めば済むというような単純な話ではありません。
持続的なコロニーを作るには、適切な環境をつくる必要があります。
特に、アリオンゴマシジミの生育環境はとても変わっており、研究チームは実に5年の歳月をかけて準備しました。
繁殖場所には、イングランド南西部・グロスタシャーにある自然保護区「ロッドボロー・コモン」が選ばれています。この場所は、ナショナルトラストの保有地であり、867エーカー(1エーカー=1200坪)の広さを誇ります。
そして、環境づくり最大の鍵は、ロッドボロー・コモンにいる「クシケアリ」の数を増やすことでした。