この重そうな荷物を運べるのか?ロボットが”自分で判断できる”技術が登場!

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Credit:Yuanfeng Han et al.(2020),arXiv
reference: techxplore

私たちは目の前にある荷物を運ぶとき、自分にはそれが運べるのか、どうやって運ぶのか、自ら判断して適切に行動しています。

一方、ロボットは軽い荷物を運ぶ実験では良い成果を出していますが、かさばる重い荷物を運ぶことは苦手で、荷物を壊してしまったり落としてしまったりします。

ジョンズ・ホプキンズ大学シンガポール国立大学(NUS)の研究チームは、そんな物理的特性が不明な重い荷物を、ロボット自らが持ち上げられるかどうか判断する新しい技術を開発し、論文をarXivで事前発表しています。

この技術は、面倒な荷物はロボットが運んでくれる、そんな時代へ向けた第一歩になるかもしれません。

荷物を運ぶたち

人間の姿を模したヒューマノイドが荷物を運ぶ動画をネットで見かけることがあると思います。

ヒューマノイドに求められていることは、人間と同じように作業をこなすことです。

そして特に頻繁に求められると予想される作業が、さまざまな形、大きさ、重さを持った荷物を移動させることでしょう。

しかし、「荷物に応じて適切に抱え、落としたり壊したりすることなく安全に運ぶ」ということは、実は非常に高度な判断を必要とします。

私たちも職場で「これ運んどいて」なんて頼まれることがありますが、そのときは荷物が軽いのか重いのか、ダンボールなのか書類の束なのか、などの条件を判断して運び方を考えるはずです。

この複雑なタスクをに達成させるためには、まず荷物の物理的パラメータを特定し、次に荷物を持ち上げるための安全で安定した全身の運動軌道を生成する必要があります。

これをに行わせるには、非常に多くの計算が必要になるのです。

人型は自由度が高いため、この計算をうまく設定できなければ動作が完了できなくなります。荷物が重すぎたり、重心が体から遠かったりすれば、当然荷物は運べないでしょう。

に「ダンベル何キロ持てる?」か推測させる

目の前にダンベルのような重い物体があった場合、私たち人間はそれを持ち上げることができるか、どのように推測しているのでしょうか?

私たちはダンベルに軽く触ってみて大体の重さを感じたり、外観から重さを推定して、それを過去の経験と照らし合わせています。そのあとに重すぎて無理、またはいけそう、と判断を下すのです。

そこで研究チームもを使って、荷物の物理的パラメータに応じた動作の軌道表を生成し、に保存しました

はその軌道表を、私たちでいう過去の経験として利用していきます。

荷物を判断するときのの思考。/Credit:Yuanfeng Han et al.(2020),arXiv

この研究で開発された技術では、が箱を触った直後に、箱の物理的パラメータを取得できます

はそこから得られた情報を元に、軌道表を確認して、その箱を持ち上げられるパターンが存在するかをチェックするのです。

当然、パターンが記録されていればはこの箱を運ぶことは可能だと判断します。もし、パターンが存在しない場合、はこのタスクは自分の能力を超えていると考えます。

本質的にこれは私たちがやっていることと同じです。この方法なら、毎回新たな動作を生成する必要がないため、時間と計算量を節約でき、迅速な判断を行うことが可能です。

NAOを使ったシステムの評価

システムの評価では、SoftBank Roboticsの小型NAOが使用されました。

このでは、NAOは持ち上げることが不可能な荷物や、困難な荷物を迅速で効果的に識別することができました

人間の「経験に基づいてものを考える」という方法をに適用することで、が重い荷物を運ぶ作業は、確実かつ効率的に判断できることが明らかになったのです。

これは今後、他のヒューマノイドにも適用されていくと考えられます。

もちろんこれはまだ初期段階の技術ですが、研究チームは、今後この方法を拡張させ、幅広い対象物の持ち上げ作業に適用させていくことを計画しています。

引っ越しのサポートをがする、なんて日も近いのかもしれませんね。

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